第一話
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に答えるかのように茅場がアナウンスを再開した。
「より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断、ナーウギア本体のロック解除または分解の試み――以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人などが警告を無視してナーウギアの強制解除を試みた例が少なからずあり、その結果―――残念ながら、すでに二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している」
私が頭では茅場の言葉を無視しようとするのに反し、体は恐怖で震えるのを止められない。キリトが私の方にによろめき、とっさに肩を貸して倒れるのを支えた。
「サンキュ」
「いいよ、気にしないで」
するとキリトは私が震えているのに気づき、優しく手を握ってくれた。普段なら男同士だろと殴ってやるのだが、今はそれだけで力が湧いてくる気がした。
本当に百人以上が死んだのだろうかは知ることが出来ない。怖いけど知りたい、でも知りたくない。複雑な感情が私の中で暴れていた。
「信じねぇ……信じねぇぞオレは、ただの脅しだろ。できるわけねぇよそんなこと。くだらねぇことぐだぐだ言ってねえでとっとと出しやがれってんだ。いつまでもこんなイベントに付き合ってられるほど暇じゃねぇんだ。そうだよ……イベントだろ全部。オープニングの演出なんだろ。そうだろ」
おそらく前プレイヤーがそうであれと思ったろう。実務的な茅場のアナウンスが再開された。
「諸君が、向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要はない。現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多数の死者が出てきていることも含め、繰り返し報道している。諸君のナーウギアが強引に徐装される危険はすでに低くなっているといってよかろう。今後諸君の現実の体は、ナーウギアを装着したまま二時間の回線猶予期間のうちに病院その他の施設へと搬送され、厳重な介護姿勢のもとに置かれるはずだ。諸君は、あんしんして……ゲーム攻略に励んでほしい」
その言葉にキリトの口から鋭い叫び声が迸った。
「何を言ってるんだ!ゲームを攻略しろだと!?ログアウト不能の状況で、呑気に遊べってのか!?」
私もキリトに続いて叫ぶようにして声を出す。
「そうだ!こんなのは、もうゲームでも何でもないよ!!」
そして私たちの声が聞こえたかのように茅場晶彦が穏やかに告げる。
「しかし、充分に注意してもらいたい。諸君にとって、《ソードアート・オンライン》は、すでにただのゲームではない。もう一つの現実と言うべき存在だ。……今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に諸君らの脳は、ナーウギアによって破壊される」
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