第一話
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彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ」
「「な…………」」
キリトと同時に驚愕の声を出す私。彼の名前を私たちは知っている。
茅場晶彦は弱小会社だったアーガスを最大手に成長させた天才ゲームデザイナーであり、ナーウギアの基本設計者だ。しかしこの世界をコントロールできる唯一の人間とはどういうことなのか。
プレイヤーたちは彼の言葉に耳を傾けて状況を整理しようとする。そんな皆をあざ笑うように彼はとんでもない爆弾を落としてきた。
「プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消失していることに気づいていると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく、《ソードアート・オンライン》本来の仕様である」
「し……、仕様、だと」
クラインが割れた声で囁いた。その語尾にかぶさるように、悪夢は続いた。
「諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない……また、外部の人間の手による、ナーウギアの停止あるいは解除もあり得ない。もしそれが試みられた場合―――ナーウギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる」
私は彼が何を言っているのか理解できなかった。いや、脳が理解することを拒絶したのかも知れない。
辺りがざわつき、クラインが右手で今はないヘッドギアを掴もうとし、それと同時に乾いた笑交じりの声が漏れる。
「はは……何言ってんだアイツ、おかしいんじゃねえのか。んなことできるわけがねェ、ナーウギアは……ただのゲーム機じゃねえか。脳を破壊するなんて……んな真似ができるわけねぇだろ。そうだろキリト!ブラウ!!」
後半はかすれたその叫び声が私を呆然とした状況から復活させた。食い入るように凝視されるが私たちは頷けなかった。
なーうぎはは、ヘルメット内部に埋め込まれた無数の信号素子から微弱な電磁波を発生させ、脳細胞そのものに擬似的感覚信号を与えるとキリトに聞いたことがある。この原理は昔からも電子レンジという形で使われていた。
出力があれば脳細胞中の水分を高速振動させ、摩擦熱で蒸し焼きになるだろう。
言葉の出ない私の代わりにキリトは言った。
「…………原理的には、あり得なくもないけど……でも、はったりに決まってる。だって、いきなりナーウギアの電源コードを引っこ抜けば、とてもそんな高出力の電磁波は発生させられないはずだ。大容量のバッテリでも内蔵されてない……限り……」
そこまで口にしたところでキリトが絶句したが、理由は私やクラインも察してしまった。
「内臓……してるよ。ギアの重さの三割がバッテリセルだ。でも無茶苦茶だよこんなの!もし瞬間停電でもあればみんな死んじゃうってことじゃん!!」
私の叫び声
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