第一話
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じゃねぇんだから」
頼ってくれた彼に対し答えれなかった私に明るく励ましてくれる。…やっぱクラインっていい人だなぁ。
そして彼は頭からマシンを取ればいいのだと言ってバンダナしか巻いていない頭から帽子を取るような仕草をするがもちろんそんなことで《ナーウギア》が外れるわけがなく、冷静なキリトに淡々と言われて落ち込んだ。
不謹慎だとわかってるけど、すごく面白い。負けるな私の腹筋、堪えるんだ。
「じゃあ、結局のとこ、このバグが直るか、向こうで誰かが外してくれるまで待つしかねぇってことか。でも、俺、一人暮らしだぜ。おめぇらは?」
少し悩むキリトに軽く頷くことで言っていいよと伝えた。そのままキリトに伝えてもらおう。
「母親と妹の三人暮らし。こいつは家が隣で母親とブラウの二人暮らしだな」
「おぉ!?キ、キリトの妹さんていくつ?」
「この状況で余裕だなお前。妹、運動部だしゲーム大嫌いだし、俺らみたいな人種とは接点皆無だよ」
元気を取り戻したくラインがキリトに詰め寄ってキリトがそれを押し戻しながら言い合う。
この関係最高だね、そんなことを思いつつ私は二人を眺めている時にふと思ったことを口にする。
「ちょっといい?私たちがバグに気づいてもう十五分はたってるのに《アーガス》がノータッチっておかしくない」
「む、言われてみりゃ確かに」
「あ、それ俺も今思った」
「でしょ、ユーザー重視のゲーム会社がこんなに仕事が遅いなんてありえないと思うんだけど」
それがキーワードだったのか偶然かはわからないけれど、言い終わった瞬間に鐘のような大きなサウンドが辺りに流れ、私たちを眩しいほどの青い光が覆った。
◇◆◇◆◇
光が消えた時、目に映ったのは中世風の町並みと巨大な宮殿、さらに周囲にいる数千、数万の人の姿だった。
「《始まりの街》…だよね」
「あ、あぁ。それにさっきのは転移アイテムを使用した時の光だった」
呟く私の言葉に頷いて答えるキリトと大きく口を開けているクラインが傍にいた。
周囲の声が不安から怒りに変わり次第に大きくなっていく。やがて誰が言ったのかはわからないが
「あっ、上を見ろ!」
と叫んだ。不気味なほど真っ赤なフォントで綴られた【Warning】【System Announcment】と読めた。
周囲が安堵の表情を見せる中、私は妙な胸騒ぎを感じた。すると空から巨大な血のような雫が垂れてくる。雫は巨大なローブの男に姿を変え、顔の部分には暗い闇しか見えなかった。
その姿はGMが纏う姿で説明が始まるはずだと安心していいはずなのに、私の頭には警鐘のような音が鳴り響いていた。
ロ―ブから白い手袋が現れ両手を広げて声を出した。
「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。私の名は茅場晶
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