アカデミー編
陰陽
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ナルトはまるで陽だ。光のように明るく、受動態ではなく能動態。受け身ではなく行動的。火のように激しく、夏のように熱い。
対するカトナは陰だ。影のように暗く、能動態ではなく受動態。行動的ではなく常に受け身。水のように穏やかで、冬のように冷ややか。
二人は全く違う。それなのに、二人で一つを作っているのだから、面白いものだ。
その一人であるカトナは片割れを見て嬉しそうに笑っていたが、ふと時計を見て、慌てて立ち上がる。
「すいません、先に、帰り、ます」
いきなりそう言いだしたカトナに、何か用事があったのだろうかとイルカは当惑する。
同じように時計を見つめた彼のその疑問に答えるように、ナルトがあ、と声をあげた
「そっか。今日はバーゲンセールだってば!」
「バーゲンセール?」
驚いて目を瞠るイルカに、ナルトは不思議そうに首をかしげた。
「先生ってば、知らねぇの?」
「いや、知っているが」
てっきり二人の食料は三代目火影から支給されていると思っていた。
それをそのまま口に出せば、カトナは少しだけ困ったように言い返す。
「流石に、そこまで、頼るのは、駄目、です」
「俺達、じいちゃんにお金貰ってるのに、これ以上貰うのは、NG! なんだってば」
それに、三代目火影が毒見した食料以外は信用できない。あらかじめ、毒が仕込まれていたりすることが多い。最近は毒をいれた痕跡が見つけやすいからと、レトルトのものが多くなってしまっているが、致し方ないだろう。
……サスケからのおそすわけで食料を貰い、ちゃんと作ることもある。うちはの唯一の生き残り、写輪眼をもつサスケを殺すわけにはいかないからか。サスケが持ってくるご飯は、確実に毒がなくて安心して食べられる。
サスケも料理は出来るが、カトナの方が美味しい料理を作れる。お互いの利害が一致しているので、よくお世話になっているのだが、しかし、毎日お世話になるのは心苦しい。
ので、今のところ二人のメジャーなご飯は、レトルト食品と、ナルトのお気に入りのカップラーメンだけだった。
のだが。
「じゃあ、俺が奢ってやろうか?」
「へ」
「え」
イルカは何気なしにそう言うと、自分の懐の財布の中をあらためた。
中に入っているお金は少なくはない、そして多くもない。しかし、これなら三人分は大丈夫そうだと確信して、イルカは二人に尋ねる。
「どこがいいか? あっ、高級寿司屋とかはやめろよな」
どこがいいのだろう。
気分的にはお気に入りのラーメン屋さんに行きたいところだが、二人が安心できる場所じゃないと駄目だろう。なんなら、作ってもいいかもしれない。そういえば、今、家の野菜の賞味期限が近づいていた。
処分してもらうことを
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