七十五 反逆
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斬首の術】!!」
踵まで地中に埋もれゆく両足。突然の出来事に一瞬呆けたカブトは、慌てて振り払おうともがく。
何時の間にか、地中に潜んでいたナルの影分身。その手に引き摺りこまれたのだ。
足首をしっかと掴むナルの手を、急いで放そうとするカブト。足下を見ていた彼は気づかなかった。
ナル本人が目前に迫っている事に。
カブトに指摘されなくとも、動く相手では簡単には当たらないとナルは察していた。だから影分身を造り出した瞬間に、その内の一体を地中に潜ませておく。
防御が出来ない右側を攻めると見せかけ、実際は地面からの不意打ちが狙いだったのだ。
中忍本試験において日向ネジとの対戦と同じ要領である。
「これで逃がさねえで済むだろ…―――【螺旋丸】!!」
迸るチャクラ。青白い光が眼鏡を通してカブトの眼に射し込んだ。
同時にチャクラのメスを造りだす。術が炸裂する前に、カブトは鋭利なメスをナルへ伸ばした。
そして……―――――――。
瞬間、ナルは突き飛ばされた。
カブトに【螺旋丸】が触れる直前。ナルにチャクラのメスが届く寸前。
互いの攻撃が衝突する瞬間、割り込んできた小さな影。
それは綱手とシズネは勿論自来也も、そしてナルもよく知る存在だった。
相殺される。
突き飛ばされた衝撃で霧散する【螺旋丸】。同時にカブトの足首を捕えていた影分身も消えてゆく。
尻餅をついたナルがすぐさま顔を上げる。自分を邪魔した相手に鋭い視線を投げた彼女は、次の瞬間、硬直した。
眼を見開く。突き飛ばされた痛みも忘れ、ナルは表情を強張らせた。
視界に飛び込んだのは、大蛇丸とカブトを背に佇む存在。
まるでナル達と敵対するかのように現れた二つの影は、一つは小さく、そしてもう一つはナルと同じ大きさだった。
「……な、んで…」
誰もが驚きで声が出ない。沈黙の中、か細い声がナルの震える唇から溢れ出す。
「…なんで…此処にいるんだってば…?」
目の前の光景が理解出来ない。動揺し、揺れ動く青い瞳。
「なんで、そっち、に、いるんだってばよ…?」
区切られた一語一語を口にするだけで、胸が痛い。ドッドッと煩い心臓の音が脳裏に轟く。
それでもナルは、カラカラに渇いた喉を振り絞った。名を叫ぶ。
「―――――アマル…ッ!!」
ナルを突き飛ばした子豚のトントン。
その傍らで、病院にいるはずのアマルが沈痛な面持ちで佇んでいた。
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