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渦巻く滄海 紅き空 【上】
七十五 反逆
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し、カブトは(残念ながらその目論みは失敗だよ)と苦笑を漏らした。

案の定、彼女達はカブトの右側を重点的に狙ってきた。
それを見越していたカブトは、ナル達の猛攻を軽く避ける。殴りかかる腕を取り押さえ、クナイを奪い、逆に鳩尾を殴る。
ぼうんっと立ち上る白煙を背に、今度は振り被る拳を受け流し、突き蹴りを放つ。蹴飛ばされた影分身が消えるのを眼の端に捉えつつ、跳躍。
一人のナルが仕掛けてきた足払いをかわす。そのまま空中で、ナルから奪ったクナイを投擲。

影分身達をあっという間に仕留め、カブトは軽やかに地上へ降り立った。ナル本人を目に捉える。


「怖いかい?逃げてもいいんだよ。死んだら終わりなんだから…。アカデミーで、状況次第では諦めて逃げろと教わらなかったのかい?」
影分身を失い、一人になったナル。本人であろう彼女の顔を覗き込むように眺めると、カブトの口角が自然と吊り上がった。

「今の君は足手纏いだ。足手纏いは足手纏いらしく、大人しくしておくんだ。いい加減、意地を張らずに諦めなよ……死にたくないだろ?」
微笑を湛えた唇で穏やかに話すカブト。まるでそれは聞き分けのない子どもを諭しているかの如き物言いだった。


「死んだら何もかも…夢も希望も何もかも無くなるんだよ…」

そう語っていたカブトの顔が不意に変わる。まるで自身の言葉に傷ついたように彼は顔を曇らせた。
その一瞬の隙をナルは見過ごさなかった。


拳を広げる。素早くチャクラを乱回転させると、青白い光が迸った。
目の前で渦巻くチャクラの玉に、カブトがハッと我に返る。だが、紺碧の珠を両手で構えるナルの体勢に、彼は呆れた風情で眼鏡を押し上げた。

「どんな術を覚えたか知らないが、当たると思ってるのかい?」
「待て、ナル…っ!!」

慌てた自来也が口を挟む。ナルとカブトの闘いを観ていた彼は、【螺旋丸】から迸るチャクラの渦に顔を顰めた。
本来ならば球の中で渦巻くチャクラがこれだけ外に漏れているという事は、まだ術は完成していない。チャクラがまだ留め切れていないのだ。

もっとも今の段階でも人を気絶させるくらいは出来るだろう。だが敵は畑カカシ同等の力量である薬師カブト。相手の動きを止めない限り、避けられるのが関の山だ。その上カウンターを食らい兼ねない。

完全ではない【螺旋丸】。ナルが不完全な術を放つのを自来也は急ぎ諌める。だが頭に血がのぼっているのか、師の声を無視し、カブト目掛け突撃するナル。その見るからに安直な攻撃を、カブトは鼻で笑った。
「そんなわかりやすい動きじゃ、よけるに決まって…ッ!?」



刹那、カブトの膝がガクンと落ちた。


「な…っ!?」
突如、崩れる体勢。見下ろすと、地中から手が生えていた。

「【土遁・心中
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