七十五 反逆
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言を述べる。
「………っ」
二の句が継げなくなったナルへ、今度はカブト本人から容赦ない言葉が突き刺さった。
「ナルちゃん…。君に手を貸したのは情報収集の為だよ。それ以上でもそれ以下でもない」
地に膝をつき、呼吸を整えていたカブトが眼鏡をくいっと押し上げる。息を荒げつつも彼は口許に余裕染みた笑みを湛えた。
「僕は…――スパイだからね」
自分を慕っていた少女の動揺を気にも留めず、緩慢な仕草で身を起こす。立ち上がりこそまだ出来ないようだが、自身に殴られておきながら起き上がったカブトに綱手は目を見張った。
やけにナルを挑発するカブト。彼の意図を理解したのか、大蛇丸がすっと身を引く。腕を組んで傍観者に徹する彼を、自来也はじっと見据えた。
大蛇丸の行動を見張らないといけない自来也もまた、容易には動けない。同じく大蛇丸を警戒する綱手も、シズネに肩を貸しているため、簡単には動けなさそうだ。
「お前…私の拳を食らって…!?」
「チャクラを頬に集めて殴られる前から治癒を始めていた。僕が大蛇丸様に気に入られたのは技のキレでも術のセンスでもない」
綱手に殴られた頬。そこを押さえながら立ち上がったカブトは、おもむろに頬から手を放した。
手で押さえられていて見えなかった傷痕。それが徐々に治癒されていく様を見て取って、綱手は眼を瞬かせた。
「…―――圧倒的な回復力。細胞を活性化し、新しく細胞を造り変えてゆく能力…」
歌うように話していたカブトの眼がナルに向かう。急に視線を注がれ、当惑したものの、ナルは負けじと睨み返した。
「ナルちゃん…君の情報を収集して、ひとつ解ったことがある」
だがカブトは彼女の強い眼光を気にも留めず、むしろ探るような視線を送ってくる。
その眼はナルではなく、別の…――まるで彼女を通した他の人物を見つめているかのように遠いものだった。
「君に忍びの才能は無い」
いっそ残酷なまでの宣告。何の前触れも無く告げられ、ナルは一瞬呆けた。除々に顔を険しくする。
唇を噛み締め、キッと睨んできたナルに対し、カブトはわざとらしくにっこり微笑んだ。
「そんな怖い顔をしても結局君はただの可愛い下忍なんだよ。此処では場違いだ…だから、」
すっと眼を細める。終始浮かべる笑顔の反面、カブトの声音は実に冷やかだった。
「出しゃばるんじゃない」
あんまりな言い草に、頭に血がのぼる。カッとしたナルは、引き止める自来也達を振り切り、カブト目掛けて駆け出した。
影分身を数人作り出す。走りながら彼の右腕に目を止める。各々がクナイを手に、地を蹴った。
真正面から迫り来るナルを見て、カブトが軽く肩を竦める。
彼は気づいていた。ナルがちらりと自身の右腕を一瞥した事に。
ずらりと並ぶナル達を見渡
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