暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
悪魔の島編
EP.16 復活の兆し
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晶は巻き戻した映像のように再生し、ナツの頭に狙いを定めた。
 しかし、ワタルが投擲した鎖鎌の鎖部分をナツの足に巻き付かせて自分の方に引っ張り、ギリギリで回避に成功。
 ナツは転がり、ワタルの足元で止まった。

「チクショウ、壊してもきりがねーな」
「遺跡もそうやって直したのか」
「左様。私は物体の時を操れますので」
「時!? ありえねえ!」
「ふふふ……失われた魔法(ロスト・マジック)の一種ですからね。そちらの方が詳しいのでは? 黒き閃光《ブラック・グリント》」

 ザルティの笑みと共に発せられた言葉にワタルは肩を竦めて答える。

「ま、見るのは初めてだ。生物には効かないって事は知ってるけど」
「ええ。“時のアーク”と言いますが、おっしゃる通り生物には効きません。だからウルであるこの氷の時間も戻せません」
「あっそ……ナツ――」

 得意げに語るザルティに対する返事もそこそこに、ワタルは片膝をついてナツに耳打ちした。

「――いいな?」
「ああ、分かった!」
「ほっほっほ……」

 闘志を燃え上がらせて勢いよく立ち上がるナツの傍らで、ワタルは愉快そうに笑うザルティを、そしてその奥のデリオラの巨体を見つめた。

 光は未だ異形に降り注いでおり、その活動を阻んでいた氷はすでに半分ほど融け、足元に小さな川となっている。
 少しずつ役目を強制的に終えようとしているそれに対する感傷はない。だがワタルは、せめてもの手向けにと、上半身が露わになったにも関わらず感じられる魔力が小さいままのデリオラに違和感を抱きながらも、デリオラを止める事、そのために目の前で笑う仮面の魔導士を倒す事に意識を傾けた。


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