悪魔の島編
EP.16 復活の兆し
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ワタルの発する険悪な雰囲気が消えたことに内心首を傾げながらも、ナツは凍りついたデリオラの巨体を視線に捉えながらそう言って、リオン一派の目的に対して疑問をザルティにぶつける。
打倒デリオラ。
リオンと戦闘中に彼から聞いた事を踏まえたナツの疑問は、その目的で得する人間は実質、デリオラに師・ウルを奪われ、彼女を超えんとするリオンだけである事に対するものだった。
リオンはそれでいいのだろう。では、彼以外の物には何の得があるのか?
ナツの疑問を解消したのは、ワタルの短い言葉だった。
「仇討ちさ」
「誰の?」
「リオン以外の者達だ。彼らは、デリオラによって家族を奪われ、故郷を失っている」
「それでか」
「ああ。だが――」
遺跡に入る前にワタル達を襲ってきた覆面の集団……彼らの特徴的な装飾品から、彼らの出身が過去デリオラによって滅ぼされたブラーゴである事と、故郷を滅ぼされた彼らがデリオラに対してどんな感情を抱くかなど、推測するのは容易かった。
納得したナツだったが、ワタルにはまだ疑問は残っていた。
岩の上で仮面の下の口がにやけたように弧を描いでいるザルティに対し、ワタルは鋭い目つきで手に持った鎌を向け、尋ねた。
「お前の目的は、他の者と同じ仇討ちとは思えない。目的は何だ!」
「おやおや、ふふふ――」
ザルティはワタルの問いにはぐらかすように笑う。
未だ細い紫の光は絶対氷結に覆われたデリオラに注がれており、氷の融解はデリオラの頭部を露出させるまでに進んでいた。
そして……
『グルォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
生物の防衛本能を刺激するような轟音と鳥肌が立つかのような威圧感。
それはナツやワタルがいる階層より上の階にいたウルの弟子たちにとって、忘れたくとも忘れられない悪魔の咆哮。
「こ、この声……忘れようがねえ……」
「デリオラ……」
グレイが立ち、リオンは仰向けに倒れている。
それだけで勝負の決着は明白だったが、両者の胸中は似通っていた。
緊張で鼓動は煩い程に音を立て、半ば呆然とした内心を埋めるのはデリオラに対する畏怖の念と僅かな覚悟。
「(やるしかねえか……絶対氷結……!!)」
グレイはリオンに使おうとしてナツに止められた禁忌に手を染める事を覚悟し、傷だらけの身体を引きずって地下の洞窟への道を探し始めた。
遺跡の入り口に近いところでは、エルザ・ルーシィ・ハッピーもデリオラの咆哮を耳にしていた。
ルーシィとハッピーはデリオラが復活したのかと狼狽えたが、エルザが紫色の光がまだ続いている事から儀式はまだ完成していない事を推
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