暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
悪魔の島編
EP.16 復活の兆し
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りまくりのナツはワタルの姿を認めると、顔面蒼白になりムンクの『叫び』もかくやというポーズを取る。ザルティもまた丁寧な口調は崩さないが、警戒心を強めた。

「ナツ」
「は、はい!!」
「事情は聞いてる。とりあえず、説教は後だ」
「お、おう……って待て! コイツはオレがぶっとばすんだ!!」
「ほう……」

 自分を連れ戻しに来たと思われるワタルの登場に動揺したナツだったが、理解の姿勢を見せたワタルに平静を取り戻し、共闘の指示に難色を示す。リオンの時もそうだったが、熱しやすく自分の喧嘩への介入を嫌うナツは、この時も例外なくワタルに反発した。

「俺のいう事が聞けない、と?」
「!?」

 だが、今回ばかりはそれは悪手。
 ナツに見せつけるように上を向けた掌から漏れ出す“魂威”の余剰魔力を電撃のように弾けさせたワタルの目は、まるで獲物を定めた獰猛な獣のような目で、しっかりと怒りを秘めていた。S級クエスト続行は一応認めたものの、勝手にS級クエストに出た事はワタルも怒っているのだ。

「あ、あいさー!」
「よろしい……おい、仮面野郎!」
「……なんですかな?」

 今まで何度ワタルに怒られ、その“魂威”で悶絶させられただろうか。仕事先で揉め事を起こした数も最多なら、彼に悶絶させられた数も最多記録を保持する(未だ更新中)妖精の尻尾(フェアリーテイル)一の問題児のとった行動はもはや反射的な物であった。
 背筋を伸ばして敬礼するナツに頷き、ワタルは演出のために弾けさせた魔力を引っ込め、警戒中のザルティに向かって声を張り上げる。

「お前の目的は何だ、失われた魔法(ロスト・マジック)使い」
「ほう、流石にご存知か。流石は――」

「……話を逸らすな。質問に答えろ」

 ザルティの返答を遮り、瞳に剣呑な光を宿らせるワタル。その雰囲気は敵意を通り越して殺気とも呼べるようなものだった。

「ヒィィ!?」
「おや、怒らせてしまいましたか? これは失敬。ふふふ……」

 両者の反応は対照的だった。

 周囲の温度が一気に低下したように錯覚したナツは、先ほど思い出したワタルに対する恐怖意識もあってか顔を青くする。ワタルを怒らせたことは何度もあるが、これほど険悪な雰囲気を纏った彼は、ナツの記憶には無かったのだ。
 対してザルティは、けろりとした表情(仮面で隠れているが)と声音で愉快そうに返す。

 短い悲鳴を上げたナツを一瞥したワタルは一旦目を閉じると息を吐いた。この得体のしれない仮面の男の言葉に対する心中の動揺を消し去り、話題の転換も兼ねて声を掛ける。

「(落ち着け、いちいち揺さぶられるな……)ナツ、こいつらの目的の事は?」
「あ、ああ。コイツを倒す事だろ? それにしたってよくわかんねーけど」

 
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