暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
悪魔の島編
EP.16 復活の兆し
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して手を出すかどうかを考えた。

 砂浜でルーシィを助けたのは、そうしなければネズミに押しつぶされていただろうし、彼女にそれを避けるだけの力が残っていなかったことも明白であったからであった。
 今回は、なるべく面倒は避けよう、としばらく静観しようとしたのだが……

「(後で『獲物取られた』とか言われて絡まれるのも面倒だしな)……げ」
「ひ、光!? 誰かが上で儀式やってんのか!?」
「すでに十分な量の月の光が集まっております。後はキッカケさえあれば……ホラ」

 状況が変化した。一筋の細い紫色の光がデリオラの氷に当たり始め、あろうことか氷の一部が融解し始めたのだ。
 慌てて遺跡の頂上で行われているであろう月の雫(ムーンドリップ)の儀式を止めようと、洞窟の出口に向かおうとしたナツだったが、仮面の魔導士によって地面に穴をあけられて妨害されている。

「……仕方ないか」

 自分が手を出さずに終わるという淡い期待を捨て、既に肩のあたりまで氷が溶けている悪魔を一瞥、嘆息と共にワタルは加勢を決めた。




「私を追ってきたのはミスでしたね、火竜(サラマンダー)君」
「クソ……!」

 リオンの相手をグレイに任せ……というより、折角遺跡を傾けて月の光をデリオラに当てるのを妨害したのに、どうやってかそれを直したという、仮面の魔導士・ザルティにおちょくられ、彼を追いかけてデリオラの氷像が鎮座する洞窟の広場まで来たナツ。
 誰かが頂上で儀式を始め、現在進行形で融けているデリオラの氷とザルティを見比べて焦るナツの姿を見て、ザルティは丁寧な口調で愉快そうに笑う。

「ほっほっほー――むっ!?」
「え!?」

 風切り音と鎖のぶつかり合う金属音と共に、鎖鎌が仮面を襲う。それを察知したザルティは武器にしていた水晶を鎌に向かって操りぶつけた。
 しかし、水晶は鎌を止めるどころか威力を減衰させることなく卵の殻のようにあっさりと砕け、ザルティは慌てて足場にしていた岩を蹴ってかわす。標的を外した鎌は岩に突き刺らず、岩を粉々に破壊した。その威力にザルティは冷や汗を流す。

「(まともに喰らったらやばかったかもね)」

 その内心の言葉……女のような言葉は誰にも聞かれていない。

 魔法武器へ魔力を流し、それを操る事によって斬撃から打撃という真反対の属性へ変換させながら、そこそこ大きな岩を破壊するほど強く大きな魔力を精密に操作できる魔導士は、ナツの知る限り一人しかいない。
 どうか外れてくれますように、という半ば諦観にも近い淡い希望と共にナツは油の切れた古い機械のようにぎこちなく振り向いた。

「よう、ナツ……なんで俺が此処にいるかは、言わなくても分かるよな?」
「ワ、ワタル……」
「……」

 心当たりがあ
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