悪魔の島編
EP.16 復活の兆し
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の事情を聞きながら、このS級クエストが終了次第、しっかりとハッピーとお話し(物理)することを決めたのだった。
= = =
一方、エルザ達と分かれたワタルは魔力感知に集中しながら、地下で遺跡の傾いていた方の柱調べていた。
「――やはり、土系の魔導士の仕業じゃないな」
風雨にあまり曝されたわけではないにしても、時間の経過を十分に感じさせるほど劣化した柱に手を当てながら、ワタルは先の仮説のうち半分が間違いでないことを確信した。
建築に関して素人の目にも『危険』と判別できるほどに傾いた建物を元に戻すなら、破損部分だけ直せばいいという訳では無い。明らかに基礎の柱――人間でいう背骨、船で言う竜骨に当たる部分――が壊れれば、一から全てを直す必要がある。
そんな事ができるほどの土系魔法を使える魔導士に心当たりが無いわけではない……というか知り合いにいるが、彼がいるならこの島に魔力感知に対するジャミングが掛かっていようと、その魔力の大きさから分かるはずだと、ワタルは考えたのだ。
加えて、仮に遺跡の修復が土系魔法を使う魔導士の仕業なら、新しく作った柱が元々そうであったかのように、ボロボロの状態であるはずがない。
そう、問題はそこなのだ。
「とすると、やはり時間――失われた魔法、か……」
憤怒、自責、悲哀、自嘲、後悔――わずかながら、ワタルの嘆息に込められた様々な負の感情を理解できる者はいない。エルザですら、彼の感情そのものを感じ取ることはできても、その根源を理解できはしないだろう。
まあ、知らないのだから無理もないのだが。
そう言えば、彼女には自分の事をどのくらい話したのだったか。
それを思い返そうとしたその時……爆音と熱気、そして魔力を感じ取り、ワタルは頭を振って思考を中断した。
「――――!!」
「この魔力と声、ナツか……近いぞ」
耳を澄ませば、戦闘中なのか大声が通路にまで響いている。聞き覚えのあるその声を頼りにワタルが入ったのは洞窟の広大な空間だった。
「ここか――うわ、あれがデリオラか」
初めに目に入ったのは、身の丈10mをゆうに超える異形の悪魔の氷像。
氷漬けになってもなお、威圧感をまき散らし、見る者に生理的嫌悪感を感じさせるのは、流石最悪の黒魔導士・ゼレフが生み出した悪魔と言ったところか。
そんな感想を抱きながら、ワタルはその周りで炎を纏って戦う青年と奇妙な仮面をつけている者の姿を氷像の近くに認めた。
「さて、どうするか……」
どちらかと言えば面倒くさがり屋のワタル(風紀委員気質のエルザと一緒にいるからそう見えるというのもあるだが)は、ナツに加勢
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