第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』U
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けながら。
言われなくても、と。『生命力』を『魔力』へと昇華する。再び満ちた魔力、それを……全て『断罪の書・断篇』に流し込む。
感じたのは、死の痛み。頭痛程度だが、確実に脳細胞の幾らかが死滅した。そんな目に遭うのも、その程度で済んだのも、その『能力』の為。
「――――飢える」
そして、記述されている『召喚方法』の全てを無視する。何故なら、師父は言っていた。
『君の求めるものは、ここに在る』と。『書いてある』ではなく、だ。
「――――飢える……」
詩編が意味を為す。紙片が意味を為す。それは、さながら神刻文字のように。
「――――飢える!」
錬金術による骸殻など無くても、『召喚術』によって――――幻想にしかない筈の『賢人バルザイの偃月刀』は、鋼を得る!
「これが……」
現れた、玉虫色のダマスク剣。第四代カリフの愛刀ズー・アル・フィカールにも似た形。拳銃の比ではない、その重量感。その存在感、その威圧感。正に、時空の神の祭具だ。
目の前の異形、切り裂けと囁くように。意思でも持つかのように、圧倒的な質感。
『__バルザイ__の__偃月刀____ォォォ!』
その時、異形は初めて明確に声を上げた。聞き取れる声で、この偃月刀の銘を。
それは、衝撃だ。闇を震わせて、あらゆる全ての分子結合を融解させる音の波。絶叫が埃の浮く大気を激震させ、汚水の水面が沸騰し、黴塗れのコンクリートの壁面が砕ける。
躱せはしまい。只の人間には。魔術による加護か、科学による防護の為されていない一般人には。
「ハッ――――耳障りなンだよ、テメェの濁声は!」
だが、だが。だが――――その二つを、この男は持つ。祭具剣『バルザイの偃月刀』に刻まれた、『古き印』の加護。そして、その身には『確率の支配』を可能とする科学技術による防護が。
故に、傷一つ無く。背中の少女を護り立つ嚆矢の黄金酒の瞳が、異形を睨む!
『__何故__……__お前____だけが____ァァァァ!』
それに異形は刹那、怯んで。そして、怯ませた事を許さないとばかりに、二度目の咆哮の構えを。
しかし、既に彼の瞳は捉えている。目の前の異形、倒すべき敵。最早、微風ほどの恐怖もない。恐ろしいと言うのならば、この偃月刀の方が、余程。余程。
「チッ――――無駄飯喰らいが」
吐き捨て、再度命を削る。命のみ、それを全て偃月刀に。魔力は、偃月刀の内で形作られる。だから、反動はない。
「目障りだ……消えろ!」
だが、
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