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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第10話『告白』
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しまったり責められたりで大いに焦っていて、とてもそんな風に出来ていた気はしないのだけど。
「え。違うよ、入学式の時の……」
雪姫がきょとんとして、こちらも "入学式?" と、首を傾げてしまう。
そしてふと、雪姫の表情が沈んだ。
「……覚えてないの? ……入学式。傘をくれたよね」
「……えっ!? あれって先輩だったんですかっ!?」
雪姫が何の話をしていたのか、ようやく理解した。その時の事は、勿論覚えてはいた。
でも、あの時の女性は確かポニーテールだった筈で……
──あ? 終業式の日の先輩に見覚えがあったのはそれか……!!
─────────────────────────────────
雪姫が、あの日のことを思い返す──
──春。この日は、新入生の入学式だった。
「白井ー、こっちのやつも用具室に戻しといてくれよ」
入学式の後片付けで今も運搬をしている雪姫に、教師がさらに雑用を押し付けてくる。
「あ、はい!」
ポニーテールの雪姫が、笑顔で返事をする。
「忙しいよなー白井は。今度はテレビの仕事までやるそうじゃないか。
ホントお前は我が校の誇りだよ。親御さんも鼻が高いだろうなァ、立派な娘をもって!!」
……雪姫はニコニコとした表情を保っている。教師はゴキゲンで言葉を続けた。
「皆応援してるからな。頑張れよ!!」
「……はい、頑張ります」
……言葉に元気がなくなったが、やはり雪姫の表情は変わらない。
「おう!! 頑張れよ!! 我が校の未来の為に!! なんつって」
がはは、と笑いながら去っていく教師。
その背中が見えなくなるまで、雪姫はしっかり笑顔を保ち続けた──
─────────────────────────────────
ようやく雑用の全てを終えて帰宅しようとした雪姫だが、外は雨が降り出していた。
「……最悪。傘持ってきてないのに……」
軒先で、はあ……と大きなため息をつく。
──……頑張れよ……か。……もうこれ以上頑張れるところないんだけど、な……
学業はそんなに苦じゃない。
それでも毎日真面目に続けるのには時間も手間もかかる。
委員会の仕事は難しいものじゃないけれど、やっぱり時間と手間は結構とられるものだった。
でもそれらはまだよかった。
殆どは個人作業だし、集団作業の場合でも大抵はせいぜい10人程度。
なのに今度は、芸能界なんて大人数相手の派手な仕事まで負わされて──
──……そろそろ限界かなぁ……
笑顔を振りまいて、愛想よく人の言う事を聞き続けて。
なんだか最近は作り笑いばかりで、心から笑えたのなんて、もう随分昔のような──
<b>ガシャ
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