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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
王と女王 C
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私は、もう生きている資格もない。そう、そのはずだ。
一度だけでは済まず、二度目の生贄をささげる儀式を受けている。これが両方とも受動的であることは、この際問題ではないだろう。

生贄をささげられたという事実。それ自体が、一つの罪だ。

いや、一つの罪なんて生ぬるい物ではない。
捧げられた人数の数だけ、罪がある。
手に入れてしまった力の分だけ、罪がある。

生贄というのは、一輝に言わせてみれば最も手軽に霊格をあげる手段らしい。

他の命をささげられるというのは、生贄を捧げるものからの信仰を受けるということ。
生贄をささげようと思うほどの存在というのは、本人にとって神の様なものだから。

他の命をささげられるというのは、生贄としてささげられるものからの信仰を受けるということ。
生贄にされるというのは、純粋に恐怖の塊だから。

こういった要因が重なり合って、手軽にできる霊格をあげる手段なんだろう。
それと、正しくない道というのは、最も短く、簡単な道だ。
つまり、手軽に効果を得ることのできる生贄という手段は、どう考えても正しくはない。自分の中にある常識と照らし合わせても、その事実が揺らぐことはない。

だから、私はもう生きている資格もないのだ。
でも・・・一輝は、こう言った。

『そんなどうでもいいこと』、と。
『正しい正しくないはどうでもいい』、と。

私は、心からその言葉を否定することができなかった。
だって・・・それが一輝に会ってからあいつが貫いてきた意思だから。そして、外道と呼ばれている一輝そのもののように感じられたから。

一輝が元いた世界で、『外道』と呼ばれる一族だったことは、知っている。
そう呼ばれるという事は、つまり他の人間から見たら悪でしかないことをやっていたということだろう。それも、一族単位で。
そんな一輝だからこそ・・・言葉に、重みがあった。

『私がどうしたいのか』。
一輝はただ単純に、それを聞いている。
こうするのが正しいとか、これはできないとか、そう言ったことを一切考えないで、ただただ純粋にそれを聞いている。
そして・・・一輝は本心を言えば、それを実現してくれそうな気がする。

邪魔するものは正義でも悪でも全て撃ち破って、倫理観を無視して、それを実現してくれる。
それがとても頼もしい。
目を開けばすぐそばにある顔からも、その頼もしさは感じられる。むしろ、本気でぶつかってくれている今だからこそ、いつも以上に。

だから・・・何も考えずに、その言葉は私の口から発せられていた。

「・・・生きたいに、決まってるじゃない。」

そして・・・一度言ってしまうと、もう止まらない。

「生きたいにきまってるじゃない!?本気で死にたい人間なんていないわよ!」

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