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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
王と女王 A
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契約によってえた『外道・陰陽術』が使えなくなったのだ。

「はぁ・・・二つとも使えないのは辛いな。妖刀も札も起動しないし。」
「何もギフトの関わっていないもの・・・体術などしか使えませんしね。」
「それだけだと、魔王を倒すのも少し難しくなってくるんだよなぁ・・・」

むしろできるのだろうか、と鳴央は思ったのだが口には出さない。
なぜ出さなかったのかと言えば・・・やれてしまえそうだと、一瞬思ったからである。

「おやおや、オベイロン様が獲物を逃がすとは・・・何とも珍しいことです。」

と、二人が走っている先から声が聞こえてきて、同時に止まった。
そして、警戒態勢にある二人の前方から・・・シルクハットをかぶり、モノクルをつけて、杖を持っている猫が現れた。
サイズは普通の猫に比べてかなり大きいく2足歩行しているが、二人ほどの大きさではない。
手に持っている杖はくるくると振りまわしているので、ファッション的な何かでしかないだろう。モノクルとどこからか取り出して時間を見ている懐中時計からも、それをうかがう事ができる。

だからだろうか。二人の思ったことは、

《《胡散臭い・・・!》》

と、完全に一致していた。

「さて、そうなるとわたくしめが貴女方を打倒し、贄とせねばならないわけですか。そう考えてみると、仕事があることを喜ぶべきでしょう。」

そう言いながら懐中時計をしまい、またこれもどこからか取り出したパイプをふかす猫。
一輝は一瞬、この隙に殺して前に進もうと考えたのだが、日本刀に手をかけた瞬間に鳴央に止められ、日本刀から手を放した。

「さて、そういう事情がありますので、お二人の相手はこのパックめが務めさせていただきます。何、大人しくしてくだされば贄とするだけで済みますので。」
「一輝さん、ここは私が相手をします。」

そして、何か言っている猫・・・パックを無視して、鳴央が一輝に告げた。

「・・・俺は、こいつを俺が引き受けて鳴央が音央を助けに行くのがベストだと思うんだけど。」
「いえ、おそらく私では今の音央ちゃんを助けてあげることはできません。」

一輝の提案は、すぐに却下された。

「距離が近づいたおかげで、音央ちゃんとのリンクが少し復活しました。・・・今、音央ちゃんはあのころに似た精神状態にあります。」

そう言いながらも鳴央は戦闘準備を進め、服装も和服へと変化した。

「あの頃・・・?」
「『A CAPTIVE TITANIA』のゲームに捕らわれていたころです。」

それは、音央がゲームに捕らわれて大量の生贄を与えられていたころ。
その頃の音央は・・・自らの死でそれを終わらせることを望んでいた。

「あの頃の音央ちゃんに私が会ってしまったら、私は自分が死ぬことで
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