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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十七話 陰惨な真実
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にエーレンベルクが首を横に振った。何だ? 何か有るのか?

「何処までが本当かは分かりません。死人は喋ることが出来ませんから」
「……つまり首謀者は別にいる可能性が有ると?」
「最後まで抵抗した者が首謀者とは限りません。降伏しても死刑になると怯えて徹底抗戦を主張した可能性は有るでしょう。或いは首謀者達は自らが生き残るために適当に生贄を用意したとも考えられます」

エーレンベルクだけではない、シュタインホフも厳しい表情をしている。何らかの確信が有るようだ。まあ首謀者全員が殺されたというのも確かにおかしな話ではある、本来は何人か捕縛された者が居ても良い筈だ。となれば生きていては困る事情が有ったと見るべきなのだろう。なるほど、わしが陰惨な話しだと言った時にエーレンベルクが首を横に振る筈だ。隠された真実こそが陰惨か。

「で、どうする。彼らの処分だが」
リッテンハイム侯が低い声で問い掛けるとエーレンベルクが渋い表情をした。
「その事ですが首謀者は全員死亡、他の者は当初は反乱に同調したが後に反乱鎮圧に協力したという事で一年間、五分の一の減給処分にしたいと思います」
リッテンハイム侯がわしを見た。不満そうな表情をしている。わしもいささか腑に落ちない。

「それで良いのか? 後々困った事にはならんか? 軍はこのような事には厳しいと思ったが」
禁錮、降格、降級、色々と処分は有るだろう。わしが問うと二人が顔を顰めた。シュタインホフが口を開いた。
「真実はどうあれ形としては彼らは反乱鎮圧に協力しています。これに対して厳しい処罰をすればこれ以後反乱が起きた場合、内部からの切り崩しは難しくなります。早期解決が難しくなるのです。昔から反乱というものは外から潰されるより内から潰れる事が多い、それを考えるとあまり厳しい処罰は得策とは言えません」
「それに何処までを処罰の対象にするか線引きが難しい。調査には膨大な時間と人手がかかるでしょう。癪では有りますが連中の書いた筋書を認めるのが得策だと思います」

エーレンベルク、シュタインホフの言う事を理解は出来る、しかし……。リッテンハイム侯の表情も晴れやかとは言えない。いや、エーレンベルク、シュタインホフの顔も晴れやかではない……。
「已むを得ぬという事か。今は反乱を終わらせる事が先決、そういう事だな」
半分以上は自分を納得させるために言った言葉だったがエーレンベルクとシュタインホフが頷いた。

「イゼルローン要塞はイゼルローン国際協力都市になります。これを機に要塞守備兵、駐留艦隊は解体し兵はバラバラにしようと考えています」
「まあ当然ではあるな」
「彼らの配置場所は辺境の補給基地や小規模な哨戒部隊という事になります。国防の中枢には配置しません。これからは戦争が無くなりますから武勲を立てる場は無い
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