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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十七話 陰惨な真実
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じている。

イゼルローン回廊に入った直後、反乱軍の接触を受けた、十隻程の駆逐艦だった。政府が討伐軍を送ると見込んで哨戒活動をしていたらしい。こちらを確認すると直ぐに撤退した。逃亡者の話ではイゼルローン要塞に籠る反逆者達はこちらがガイエスブルク要塞を運んできた事に肝を潰したようだ。

イゼルローン要塞とほぼ同等の規模を持つガイエスブルク要塞が放つ主砲の威力を想像して震え上がった。そして彼ら脱落者が出た。五十人程が駆逐艦で要塞を抜け出し投降してきたのだが彼らの話を聞く限りではケスラー中将の言う通り脱落者はこれからも続く可能性は有る……。なるほど、ガイエスブルク要塞を移動要塞にしたのは攻略に使うという事の他に精神的にダメージを与えるという狙いも有るのだろう。

「閣下、やはりここは相手の心理を揺さぶりたいと思います。相手が降伏するかどうかは未だ分かりませんが士気は下げられるでしょう。強攻策を採る場合でも損害は少なくなります」
「うむ、そうだな」
オフレッサーが頷いた。不満は有るだろうが理はミューゼルに有る。そして政府からも出来るだけ損害を少なくしろと言われている。ミューゼルの提案を拒否は出来ない。

ミューゼルがゆっくりと進みたいとオフレッサーに提案した。相手を焦らす事で不安にさせたいと。そしてイゼルローン要塞に接近したらこちらの攻略案の提示と降伏の勧告、そして要塞主砲による威嚇を行いたいと提案しオフレッサーがそれを苦笑交じりに了承した。もしかするとオフレッサーも反逆者達が降伏すると考えているのかもしれない。



帝国暦 488年 1月 16日  オーディン  新無憂宮  オットー・フォン・ブラウンシュバイク



「そうか、反逆者達は降伏したか」
久々に良い知らせだ、声が弾んだ。イゼルローン要塞に籠る反逆者達が戦闘に入る事無く降伏した。隣に居るリッテンハイム侯も顔をほころばせている。しかし報告に来たエーレンベルク、シュタインホフ両元帥の表情は決して明るくは無かった。手放しでは喜べない何かが有るようだ。

「反逆者達はこちらがガイエスブルク要塞を移動要塞にした事に驚いたようです。肝を潰したのですな」
「かなり混乱したようです。要塞内で戦闘も起きたとか」
「それは同士討ちが起きた、そういう事かな、シュタインホフ元帥」
リッテンハイム侯が問い掛けるとシュタインホフが頷いた。
「オフレッサー元帥からはそのように報告が有りました」
リッテンハイム侯が唸り声を上げた。

「大部分は降伏を考えたようですが一部に徹底抗戦を主張する者達が居たようです。まあ、投降者達によればこの反乱の首謀者ですな。最終的には徹底抗戦を主張する者達約五百人を殺してから降伏したようです」
「なんと、……陰惨な話だな、軍務尚書」
わしの言葉
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