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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十七話 陰惨な真実
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んな感じだ。勘弁してくれよ、士官候補生に戻ったみたいだ。
「……援軍でしょうか?」
「その通りです。イゼルローン要塞が難攻不落と言われたのは増援が有った事が大きな一因としてあります。しかしイゼルローン要塞の反乱軍には味方が居ません、そして彼らは味方を募ろうともしない。とても有能とは言えませんし展望が有るとも思えない」
なるほどね、確かに有能とは言えない、展望も無いようだ。それにしても間違った答えを言わなくて良かった……。
「孤立した状況での籠城戦は圧倒的に不利です。非常に有能でカリスマ性のある統率者でも居れば別ですがそうでなければ脱落者や裏切り者が出るでしょう。とてもではないが一つに纏まっての抵抗など出来ません。古来籠城戦においては味方の裏切りや逃亡者の続出が勝敗を決める事が多いのです」
うーん、そういう事か。あれ? ていう事はだよ、同盟軍が攻めても碌に抵抗出来ずに終わる可能性も有るんじゃないの? 議会にはとんでもない被害が出るなんて言ってたけどあれは嘘? 思わずまじまじと委員長を見たら委員長が薄らと笑った。やっぱり怖いよ、この人。
「有能でカリスマ性のある統率者が反乱軍を率いている可能性も有りますよ」
「はあ」
何で俺の考えていることが分かったんだろう。姉さんに視線を向けたら姉さんは笑みを浮かべてバーボンを飲んでいた。何時の間にかドジな姉さんが怖い姉さんになっていた。虎と狼と兎みたいだ……。
帝国暦 488年 1月 10日 イゼルローン回廊 ガイエスブルク要塞 ヘルマン・フォン・リューネブルク
俺とケスラー中将がガイエスブルク要塞の司令室に戻るとオフレッサーとミューゼルの二人が物問いたげな表情で俺達を迎えた。
「イゼルローン要塞からの逃亡者で間違いないようです」
俺が答えると二人が顔を見合わせ“他には”とオフレッサーが言った。俺がケスラー中将に視線を向けると彼が一つ頷いてから話し始めた。
「要塞内は酷く混乱しているようです。降伏しようという者、徹底抗戦を叫ぶ者、様子を見ようという者……、逃亡者は三つ巴になっていると証言しています。イゼルローン要塞を短兵急に攻めるのは待った方が良いかもしれません。逃亡者が続けばより詳しい要塞の状況が分かるでしょう。それに場合によっては降伏という事も有り得ます」
「そうか……」
オフレッサーは面白くなさそうだ。ミューゼルは一安心といった表情をしている。オフレッサーは要塞内に突入する事を楽しみにしていた。それが降伏するかもしれない、少し待てと言われて面白く無いのだろう。そしてミューゼルは要塞内が混乱するのはもちろん嬉しいだろうがオフレッサーの要塞突入が取り敢えず無くなった事に一安心といったところだ。ミューゼルはオフレッサーの事を無茶をする父親の様に感
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