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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十七話 陰惨な真実
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うにバーボンを飲んでいる。姉さんも委員長と同意見なのだろう、でもなあ……、どうにも信じられない。
「でも帝国の宇宙艦隊は再建途上にあると聞きました。精鋭とは言い難いんじゃないでしょうか。イゼルローン要塞を攻略するのはかなり難しいと思うんですけど……」
俺だけじゃない、皆が言っている事だ。委員長が軽く笑って一口サンゲリアを飲んだ。またカラカラと氷の音がする。
「そんな事は有りません。今、帝国軍宇宙艦隊の中核を占める指揮官達はいずれも名将です。彼らならイゼルローン要塞攻略を失敗する事は無いでしょう」
え、そうなの? 連中が名将揃いだなんて聞いた事ないんだけど。大体名前も知らないんだよな、俺。
知っているのは宇宙艦隊司令長官のオフレッサー元帥と総参謀長のミューゼル大将くらいだ。それにオフレッサー元帥って元は装甲敵弾兵、つまり地上戦が専門だろう、宇宙空間での戦闘なんて出来るのか? とてもそうは思えないんだが……。俺の思いが分かったのかな、委員長が苦笑を漏らした。
「私は帝国に居たから彼らの事を良く知っています。若い所為で実績が少ない、そのため過小評価されていますが彼らは危険なほどに有能ですよ。過去の帝国軍の指揮官とは明らかに違う。私は彼らと戦争したいとは思いません」
う、凄い評価だな。ヴァレンシュタイン委員長が生真面目な表情をしている。姉さんは無表情だ。嘘じゃないみたいだがそれでも疑問は有る。
「ヴァレンシュタイン委員長は三個艦隊、四百万人以上の損失が出ると仰っていましたけど……」
委員長が頷いた。だよね、だとすると帝国軍にだってそれくらいの損害が出てもおかしくない。今の帝国軍ってそんな損害を出しても大丈夫なのか? 再建途上だよな。
「要塞が一つに纏まっていれば、そして有能な指揮官が率いていれば、そのくらいの損失は出てもおかしくは有りません」
あれ? じゃあ纏まっていなければどうなるの? 指揮官が馬鹿だったら? そこまで損害は出ないって事?
「そうはならないと御考えですか?」
ナイス、姉さん。知りたい事を訊いてくれた。
「多分、そうはならないでしょう。イゼルローン要塞の反乱勢力は要塞の難攻不落を信じてただ要塞に籠っているだけです。戦略も展望も有るとは思えない、感情の趣くままに反乱を起こした、そんなところでしょう。有能とはとても言えません」
委員長がサングリアを一口飲んだ。そして俺を見て軽く笑みを浮かべた。ちょっと怖いな、委員長。
「もし、彼らに戦略が有るなら要塞に籠ったりしません。あれでは籠城と同じです。まあそういう方法が無いわけでも有りませんが……、籠城を成功させるには必要な条件が有ります、それが何か分かりますか?」
委員長が俺と姉さんに質問してきた。
姉さんが俺を見る、あんたが答えなさい、そ
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