第六話 顔合わせ
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一時間目の授業が終わり、今は休み時間。この教室の異様な雰囲気はなんとも言えないな。
おっ、箒さん、一夏くんのとこ行った。
なんか話してるけど聞こえないな・・・あ、教室から出てった。
キーンコーンカーンコーン
おっ、チャイムだ。二人とも遅いな。千冬さんの餌食になるぞ。
あ、帰ってきた。・・・なんか箒ちゃん不機嫌になってねぇ。
「―-であるからして、ISの基本的な運用は--」
すらすらと読んでいく真耶先生。
しかし俺は夢の世界にいた。
俺、織斑一夏は悩んでいた。
く・・・全然授業についていけない・・・
「織斑くん、何か分からないことがありますか?」
俺の悩みに気付いたのか、山田先生がわざわざ聞いてきた。
「せ、先生!」
「はい、織斑くん!」
やる気に満ちた返事。この人はさすが先生だ。
「ほとんど全部分かりません」
「えっ・・・。ぜ、全部、ですか・・・?」
山田先生の顔は引きつっていた。・・・・・・あれ?頼れる先生はどこに?
「え、えっと・・・・・・今の段階で分からないっていう人はどれくらいいますか?」
シーン・・・
あれ、おかしいな。誰も手を挙げない。
「・・・・・・織斑、入学前の参考書は読んだか?」
教室の隅で静観していた千冬姉が訊いてくる。
「古い電話帳と間違って捨てました」
パァンッ!
「必読と書いてあっただろうが馬鹿者。ところで・・・最後尾で寝ている馬鹿者」
「最後尾で寝ている馬鹿者」
ん?俺のことか・・・?
「はい?」
「お前は何してる?」
「え?爆睡してましたけど・・・?」
「私は寝ている理由を聞いているのだ」
「あ、そのことですか・・・暇だったので」
「ほう、では完璧なんだな?」
「はい」
「・・・・・・そうか。では、お前の参考書を織斑に貸してやれ」
「私は全部覚えたので差し上げます」
「・・・分かった。織斑、一週間以内に覚えろ。いいな」
おおー、見事なノールックパスだね、千冬さん。
「い、いや、一週間であの厚さはちょっと・・・・・・」
「渡部、どのくらいで覚えた?」
「一日で覚えました」
「「「は?・・・・・・」」」
え?みんな驚いてるけど、あのレベルなら一日で覚えられるでしょうに・・・
基本のことしか書いてないもん。
「織斑、一週間以内にやれよ」
「・・・・・・はい。やります」
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