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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
27.反撃の狼煙
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く一方だ。
鋭く伸びた牙を優麻の首筋へと突き立てようとして抑制力が働いた。
「……後悔しねぇな」
「うん」
その言葉で彩斗は優麻の傷ついた首筋に牙を突き刺した。彼女は彩斗の背中を強く抱きしめた。そして弱々しく可憐な甘い吐息が漏れた。
「ありがとな、優麻」
彼女は苦笑を浮かべ、ぐったりとしている。
優麻の身体を支えながら彩斗は立ち上がった。真紅に染まる瞳が不明瞭な世界に映る自分の右腕を睨みつけた。
「“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の血脈を継ぎし者、緒河彩斗が、ここに汝の枷を解く──」
右腕が鮮血を噴き出すと同時に太陽にも匹敵する輝きを放つ。
こいつはラ・フォリアの血をわずかに吸血した時点で覚醒していたのだ。
だが、その量がわずかすぎて完全覚醒とまではいかなかった。だから彩斗に一時的に回復能力を与えたのちに、逆に魔力を喰らってその力を保とうとしたのだ。それでも彩斗の魔力が足りずに不完全な覚醒をしてしまった。
「降臨しろ、七番目の眷獣“
神光の狗
(
アポロ・ガン
)
”──!」
右腕から解き放たれた輝きは医療室の霧化した天井をぶち破って外へと放出された。
夜の空を照らし出す月よりも眩しい第二の光源。太陽のごとき輝きを放つ鮮やかなまで綺麗な毛並み。美しすぎる狗の眷獣だ。
その輝きが優麻へと降り注ぐ。するといままで負った傷が嘘のように回復していく。
その回復は吸血鬼の回復力そのものだ。いや、それ以上の回復力。吸血鬼の回復力でも一瞬のうちに身体全ての傷を癒すことなど不可能。
それこそ七番目の能力。吸血鬼の回復を超越する回復能力。
──超回復。
「彩斗?」
優麻は自分の身体を見て驚きを隠せない。そんな彼女の身体を彩斗は軽く持ち上げて抱き上げる。いわゆるお姫様抱っこだ。
優麻は突然、お姫様抱っこされて頬を赤く染める。
「──降臨しろ、“
真実を語る梟
(
アテーネ・オウル
)
”!」
神々しい翼を持つ梟が顕現する。
“
真実を語る梟
(
アテーネ・オウル
)
”の背中へと乗り、彩斗と優麻は闇誓書の中心たる彩海学園へと目指した。
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