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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
27.反撃の狼煙
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笑混じりで答えた。
彼女の目的に彩斗はようやく気づいた。
どうやら彩斗の吸血鬼の力を取り戻させる気なのだろう。
だが、彩斗はそれが無理なことだと理解していた。第四真祖はこの世界に存在しないはずの因子だ。しかし“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”は伝説にして、真祖を殺す力を持ち、真祖ならざる神々の化身。
神の呪いを受けた吸血鬼でありながら神々の化身という矛盾した存在したではあるが、それは確実にこの世界の一部だ。
「大丈夫だよ。彩斗は伝説の吸血鬼だ。闇誓書を拒む力あるよ」
「……そんな無茶苦茶な」
彩斗は苦笑いを浮かべる。
優麻はそんな彩斗に顔を近づけてくる。その距離は互いの唇が触れ合うまでわずかに五センチ程度だ。
「ゆ、優麻……」
必死で離れようとするが傷を負っている彼女の身体を激しく動かすことができない。この状況を受け入れるしかないのだ。
頬が熱くなるのを感じる。これが起きるとほぼ同時に吸血衝動が発生する。彩斗の体質によって性的興奮を感じると顔が赤く染まってしまう。吸血衝動も性的興奮によって起こる。
優麻ほどの美少女に押し倒されてキス寸前の距離まで接近しており、身体が完全に密着している状況は吸血衝動の引き金には十分だ。
だが、やはり発生することはなかった。
この瞬間、彩斗は改めて自分が吸血鬼の力が失われたのだと実感した。
「ボクには監獄結界を破ることと古城しかなかった」
優麻は頬を紅潮させながら話し出す。
「そんなボクを彩斗は救ってくれた」
「それは古城たちだってそうだろ」
彩斗は目線を逸らしながらも冷静を装うとする。
「確かに古城や姫柊さんたちもあんなことをしたボクを護ってくれた。でも、彩斗は自分が何度も傷ついて、ボロボロになってでもボクを助けてくれた」
優麻は耳まで真っ赤に染まっている。
「彩斗は古城よりもずっと短い期間だったはずなのに古城と同じくらい……ううん。古城以上にボクの中で大切な存在になった」
「……優麻」
優麻は笑顔を見せる。それは見るもの全てを虜にするような可憐な笑顔だった。
彼女は身体を支えていた腕の力を抜く。
そして互いの唇が重なり合った。
とても柔らかく温かい感触で頭が真っ白になる。
口内に広がる鉄の味。それを引き金に彩斗の瞳が真紅に染まり、鋭く牙が伸びるのを感じる。
──吸血衝動だ。
「───ッ!!」
覆い被さっていた優麻の身体を彩斗は強く抱きしめた。そしてそのまま上下の位置を反転させ、彩斗が押し倒しているような状況となる。
彩斗は再び、優麻の唇に触れる。今度は口内にあるすべての血を吸い尽くすよう血を喉へと流し込む。
それでも喉の乾きはおさまるどころか増してい
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