暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
27.反撃の狼煙
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は原初の混沌の霧の中へと戻せばいい。

「暁古城、あなた、なにを……」

 紗矢華が呆然と呟いた。古城を包み込みように出現した、銀色の霧の存在に気づいたからだ。
 霧の源は古城の身体自身の肉体。古城の銀色の霧へ変じていく。その霧はこの場のすべてを覆い隠していく。

「わかったぞ……そういうことか、アヴローラ……こいつが、四番目か!」

 すべてを理解して古城は呟く。
 四番目の眷獣はすでに目覚めていた。雪菜の槍に貫かれたときに、覚醒していたのだ。それは古城の肉体を消滅から救うために発現し、そのまま暴走していたのだ。

「“焔光の夜伯(カレイドブラッド)”の血脈を継ぎし者、暁古城が、汝の枷を解き放つ──!」

 古城の呼びかけに応えるように、包む霧が濃度を増していく。

疾く在れ(きやがれ)、四番目の眷獣“甲殻の銀霧(ナトラ・シネレウス)”──!」

 やがて霧は建物を覆い尽くし、世界の輪郭が不明瞭になる。
 人の身体も建物も、大気もすべてが銀色の濃霧へと塗りつぶされていく。

「……霧の……」

「眷獣……」

 紗矢華と彩斗が頭上を見上げて、目を見張った。銀色の濃霧の中に浮かび上がったのは、巨大な眷獣だった。眷獣の全身を包むのは灰色の甲殻。禍々しくも分厚いその装甲は、動く要塞のようだ。
 しかしその甲殻の隙間からのぞくのは、銀色の濃密な霧だ。
 銀色の霧に包まれた世界に、眷獣の咆哮が響き渡る。




 薄暗い医務室。世界の輪郭が不明瞭な空間だ。
 先ほどまでの騒ぎが嘘のように医務室は静まり返っていた。
 月の光がベットに座る彩斗を照らし出す。

「あとは古城たちに任せるだけだな」

 彩斗はベットで横になっている優麻を見る。彼女は傷だらけの身体で第四真祖の復活のための力となった。
 だが、それまでの無理が重ねられたせいか、今だに深い眠りの中だ。
 彼女を見ていると自分の無力さを自覚するしかなかった。しかし今の彩斗がどう足掻いたところでなにもできない。
 吸血鬼の力を失った普通の高校生では、闇誓書をどうすることもできない。だから今は古城たちに任せるしかないのだ。

「彩……斗……」

「優麻!」

 彩斗は優麻の顔を覗き込む。その顔に血色がかなり悪い。

「古城たちは……?」

 優麻が途切れ途切れのかすれた声で言う。

「仙都木阿夜を止めに行ったよ」

「……そうか」

 彼女は安堵したように笑みを浮かべる。

「それじゃあ、始めようか」

「え?」

 優麻が、起き上がったと思うとベットに座る彩斗に覆い被さるように倒れこんでくる。

「ゆ、優麻。な、なにを?」

「彩斗の力も取り戻させるんだよ」

 優麻は苦
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