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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
27.反撃の狼煙
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い?」
「……この世界に本来存在しないはずの……四番目の真祖……」
第四真祖は、この世界に存在しないはずの存在。紛れ込んだ異分子だ。優麻の魔力はその異分子を呼び覚ますきっかけだ。
古城の瞳は真紅に染まる。
猛獣のように伸びた鋭い牙が、優麻の傷ついた首筋に容赦なく突き刺さる。優麻は満足そうに目を閉じて、そんな古城の背中を優しく抱きとめた。
抱き合うような古城たちの姿を見て紗矢華は、途中でハッと我に返る。
「ちょっと待って。じゃあ、私が脱がされた意味ってなに……?」
「それは……」
苦笑混じりに答えようとした優麻が、激しく吐血した。そのまま力尽きたように倒れこむ。
「ユウマ、おまえ……!」
ここにたどり着くまでに彼女が重ねてきたのを古城がようやく理解した。
「すまない、古城……あとは頼む。ボクはそろそろ限界みたいだ……」
優麻が途切れ途切れのかすれた声で言う。
「……任せろ。おまえがつないでくれたパスを、俺が無駄にしたことがあったかよ」
優麻が伸ばした掌に、古城は自分の掌を力強く打ち合わせた。
古城の全身に漲ったのは、怒りだった。優麻をこんな理不尽な運命に遭わせた怒り。彼女を傷つけた仙都木阿夜への怒り。そして優麻を護れなかった自分自身への怒り。
優麻が与えてくれた魔力は世界最強の吸血鬼の力を再び目覚めさせた。
だが、まだ足りない。
「煌坂──!」
「は、はいっ」
裸ワイシャツ状態の紗矢華が、ビクッと全身を硬直させた。
傷ついたままの身体のまま古城は立ち上がり、紗矢華を強く抱きしめた。
「ちょ、ちょっと待って。ま、まだ心の準備が……シャワーとか浴びてないし、ユウマさんも見てるのに……あっ!?」
紗矢華は必死で言い訳をするが、彼女の抵抗はあまりない。
「い、痛っ……そこ、駄目……まだ……んっ!」
紗矢華の白い肌に、古城がゆっくりと牙を埋めた。
「……せない」
目を閉じている紗矢華の耳元に、古城は囁いた。
「あ、暁古城?」
「死なせないぞ、煌坂。これ以上は誰も……」
「……うん」
古城の胸元の仙都木阿夜の“守護者”に貫かれた傷は完全に癒えたいた。
しかし、左胸の傷はまだだ。
雪菜の“雪霞狼”に刺された傷だ。やはりあの槍で受けた傷は、第四真祖の力でも回復することができないのだろうか
──そう。そのとおり。だが、違う。
古城の中の誰かが答えてくれる。
──
実体
(
カラダ
)
にこだわるから穿たれる。
──
姿形
(
カタチ
)
にこだわるから崩れ落ちる。
──吸血鬼とは生死の境界を超越した者。存在と非在の狭間に棲まう者。
──聖も邪も、生も死も、すべて
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