暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
27.反撃の狼煙
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「とりあえず行こうぜ、逢崎?」

「行くってどこに?」

「帰るに決まってんだろ」

 彩斗はいつものように大きなあくびをしながら答える。
 これはいつもの日常なのだ。

 ──いや、違う。
 この世界は、友妃たちが今まで過ごしてきた世界ではない。

「友妃はどうしたの?」

 三人目の声に友妃は夏音の後ろを見た。
 長い黒髪を横でまとめているサイドテールの少女。

「いや、わかんねぇんだよ」

 現れた少女に友妃は見覚えはなかった。でも、どこかで会ったような気がした。遠い過去の記憶の中にいたような気がする。以前に彩斗にこの感覚を覚えたことがあった。あのときは聞く前に電話で話が流されてしまって結局わからず終いだった。
 それでも彼との記憶はある気がした。
 だが、今は過去を思い出すときではない。
 この偽りの世界を消滅させるのだ。

 友妃は右手を強く握りしめた。
 存在しないはずの金属の感触が指に伝わってくる。獅子王機関の秘密兵器、“無式断裂降魔剣(ディ・イルズィオーン)”──魔力を無力化し、幻想を見せる魔刀。

「──“夢幻龍”!」

 友妃の叫びに刀が眩い輝きを放った。
 刀からは神々しい黄金の翼が展開される。その翼は、“神意の暁(オリスブラッド)”の三番目の眷獣の翼に酷似していた。
 黄金の輝きが夕暮れを引き裂いてすべての幻想を打ち破った。
 すべてがもとに戻された世界。
 鳥籠の中に囚われる友妃と雪菜、サナだった。

「おまえらが望むなら、今の夢を現実に変えることもできたぞ」

 背後から聞こえたのは、仙都木阿夜の声だった。

「それが闇誓書の能力なんですね──自分が望むように自由に世界を創り変える。あなたは、その力で、絃神市から自分以外すべての異能を消した」

「そう……だ」

 阿夜が迷いなく肯定した。

「なんのために、そんなことを?」

「呪われているのは我ら魔女ではなく、この世界の方だと証明する──そのために」

「「証明?」」

 雪菜と友妃は困惑しながら訊き返す。

「これは実験……なのだ。おまえはその実験の立会人──観測者なのだよ、姫柊雪菜、逢崎友妃」




「もういや……許して。お願い……」

 薄暗い医務室のソファの上で、紗矢華が背中を丸くしてうずくまっている。
 彼女の白いシャツは完全にはだけている。スカートを脱がされてしまっているせいで、シャツの裾からのぞく太腿が眩しい。
 嫌がる紗矢華を無理やり押し倒して、ブラを外そうとしてるのは優麻だ。

「ふふ。綺麗だよ、煌坂さん」

 ひっ、と全身を引き攣らせながら、紗矢華が弱々しく首を振る。

「どうしてこんなひどいことをするの?」

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