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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
27.反撃の狼煙
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った。黄昏の色に染まった教室の床に、二人分の影。
誰もいない教室で睨み合っていたのは、人形のように小柄な制服の女子生徒と、モノクロームの十二単を着た若い女だった。
「──
我
(
ワタシ
)
と来い。盟友よ」
十二単の女が、女子生徒に告げる。
彼女の眼球は、まさ燃えるように真紅にはそまっていない。そのせいか今の彼女からは、仙都木阿夜と同一人物には見えなかった。
「
汝
(
オマエ
)
と
我
(
ワタシ
)
は同じだ……だ。生まれながらにして、悪魔に魂を奪われた純血の魔女だ。我は我らの呪われた運命を変える。我らが蔑むこの世界を破壊してでもな」
「そのための闇誓書か」
制服姿の小柄な少女が訊き返す。十二単の女の言葉を拒絶する。
「なぜ、ためらう? この島の者たちに情でも湧いたか?」
阿夜が悲嘆するように声を荒げる。
「忘れるな、公社が汝を自由にさせているのは、汝が監獄結界の管理者として設計された道具だから……だ。いずれ汝は永劫の眠りにつき、たった一人で異界に取り残されることになる。歳をとることもなく、誰にも触れることなく、この世界の夢を見ながらな」
「……心配してくれるのか。優しいな、仙都木阿夜」
「これは、サナちゃんの……南宮先生の夢、ですか?」
「そうみたいだね」
二人の戦いに割り込んで、教室に足を踏み入れた雪菜と友妃が訊く。
その瞬間、二人の魔女は幻のように姿を消す。あとに残ったのは夕暮れの教室だけだ。
「いいや。汝たちの夢かもしれんぞ、剣巫、剣帝」
嘲るように告げる仙都木阿夜の声が聞こえた。
その瞬間だった。友妃の視界に映る光景が夕暮れの教室から雪菜が姿を消した。
この世界は仙都木阿夜が作り出した空間なのだ。だからこそ雪菜の姿が消滅したのだ。
普通なら慌てるところだったが冷静だった。
「──逢崎!」
立ち尽くす友妃の耳に、懐かしの声が聞こえてくる。振り返ると、なんとも気怠そうな表情を浮かべる男子生徒が、教室に入ってくる。
「彩斗君!」
友妃は慌てて彩斗のもとへと駆け寄った。
「彩斗君がなんでここに?」
「なんでここにって……俺はここの生徒だしな」
そう言って彩斗は面倒くさそうに頭を掻く。いつもの彩斗の姿だ。
「どうしたんですか、彩斗さん?」
彩斗の後ろから入って来たのは、清楚な印象の少女。銀色の綺麗な髪に碧い綺麗な瞳。
「いや、逢崎が変なこというからさ。悪いな、夏音。帰るの遅くなっちまって」
「いえ大丈夫でした」
これが仙都木阿夜が生み出した空間なのか疑いたくなってきた。最初は彩斗がこの空間に囚われていると思った。しかし夏音がここにいるのは意味がわからなかった。
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