アカデミー編
監視
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だから、カトナは「おかえり」と言われるような場所を知らない。
たとえ、家族に近いイタチやサスケの元を訪れる時でさえ、「ただいま」ではなく、「お邪魔します」だった。
カトナには、「おかえり」と言って受け入れてくれる場所が必要だけれども、それは決して与えられない。両親でしか、カトナを守ってくれる大人でしか、カトナに与えられない。
それが歯痒くて、自分がその場所になれないことが悔しくて、ナルトに苛立つサスケがいる。
ナルトしかカトナのお帰りと言う場所を作れないのに。なのに、カトナの思いに気が付かず、作ってやれないナルトが。カトナがどんなに拒んだとしても、拒みきれないほどの力を持つナルトが、羨ましい。そして、腹立たしい。
今だって、カトナの視線に気が付かず、奈良シカマルやら秋道チョウジやらの人間と楽しげに会話している。それは別に悪いことではないと分かっているけれど、どうにも荒ぶる気持ちは抑えられない。
……今日の修行で叩きのめしてやる。
と、密かに八つ当たりをしようと決意しながらも、もう少しで授業が始まるから座ろうと、カトナに声をかけようとして、
「二人とも、もうすぐ、授業が始まるぞ!」
それより早く、カトナが別の誰かに声をかけられた。
一瞬の沈黙。そして、へ、というか細い声が、カトナから出される。
きょとんと目を見開いたカトナが辺りを見回して、サスケの傍に、自分以外がいないのを確認する。そうして、今度はゆっくりと自分を指さして首をかしげた。
自分だろうか? とでもいうようなその顔に、慌てながらもうなずいたサスケに、カトナの目が限界まで開かれる。
二人。
それは他愛もない一言の筈なのに、カトナにとってはなれないもので。
不思議そうなカトナに違和感を覚えながらも、イルカはサスケとカトナに席をつくように促す。
「ほら、うちは、うずまき、着席しろ!」
――呼ばれた。確かに今、呼ばれた。
ぶわりと、一気にカトナの頬が赤く染まった。
いつもの無表情を保って感情を隠すことが出来ないのか。サスケの背中に隠れ、そしてちょろりと頭を出す。
慣れない、自分も呼ばれたという事実。サスケと一緒に数えられたという事。うずまきと、初めて教師に名前を呼ばれたこと。
他愛も無い筈のそれが嬉しくてたまらなくて、サスケの服をぎゅうっと掴みながらも、カトナは顔を俯かせる。
先程のような自責の念ではなく、嬉しいという喜びに染められた顔を見せないよう、俯く。
不思議そうなイルカは、全く気にしていない。
カトナが九尾であるという事を、これっぽちも気にしていない。この分なら、ナルトのことだって気にしないだろう。
自分が自分として扱われる感覚。扱われてはいるけれど、大人がしているとい
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