動き出す語り部
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いた。
苛立ちを込めたアルトの声に、意識が覚醒する。
その声が誰のモノか、スバルは迷う事無く判断した。
同時にマカロンが割れ、巻き付く蔦が斬り裂かれる。
「え!?」
「誰が……!」
クラッベとフレシュの驚く声が聞こえる。
タン、と着地したスバルは、少し遅れて自分の前に降り立った少女に目を向ける。
「全く…私がいなければ諦めない事すら出来ないのか。呆れて物も言えんぞ」
はぁ、と溜息が聞こえる。
その言い方にむっときたスバルは、苛立ちを顔に浮かべた。
「別にお前がいなくたって十分戦えるっての!妖精戦闘狂なめんなよ!」
「私が助けなければ死んでいたのはどこの誰だったかな」
「ぐっ……」
御尤もな返しに言葉を詰まらせる。
何か言い返そうと考えるが、言葉のレパートリーが少なめのスバルに言い返せそうな言葉はなかった。
頭の中を必死に漁っていると、少女はクスッと笑い声を零す。
「何の問題もないだろう?お前が危機なら私が助ける……」
「……お前が危機ならオレが助ける、だったよな」
黒いコートにふんわりとした白いスカート。シャツも胸元にフリルが飾られ、足元はサイハイブーツ。
肘より少し上の長さで下ろしてある藤紫の髪が風に靡く。
少女は横顔を、スバルに向けた。
「ここからが本番だ。行くぞスバル」
ふ、と笑みを湛えるその少女の言葉に、スバルの顔にも自然と笑みが浮かんでいた。
自信で構成された笑み。心底嬉しそうで楽しそうな、明るい表情。
「わーってる!ぶっ放すぞヒルダ!」
―――――――――クロスがこの2人を塔の外に残した理由。
それは、この2人の息が誰よりも合っているから。
そんな2人が共闘した時、チーム“オントス・オン”で最強の力が生まれる。
“巨蟹宮”、“人馬宮”、“双魚宮”がそれぞれ戦っている。
となれば当然、この男も戦う訳であり。
「傲慢」
災厄の道化のマスターにして大罪人―――――ジョーカーは、周りの音に掻き消されてしまいそうな小さな声で呟く。
その声に反応してジョーカーの背中から光の翼が生え、キラリと金色の光が瞬いた。
光を目視した瞬間、無数の羽が矢のように連射される。
「妖精機銃レブラホーン!」
スバルとヒルダに変わって現場の指揮を取る“雷神衆”の1人、エバーグリーンは右腕を薙ぎ払うように振るう。
その軌跡から針が生まれ、無数の羽を打ち落としていく。
「バリオンフォーメーション!」
「怠惰」
ビックスローが操る5体のトームマンが五角形を作る。
その中央から、
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