動き出す語り部
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んみたいに遠距離専門だろう、とか言いませんよね。だとしたら、とんでもなく的外れな……」
「ああ、お前は遠距離攻撃は得意ではないだろうな……ただし、苦手でもない」
呆れたような笑みを浮かべるアランの言葉を遮り、キャトルが呟く。
アランの言葉が止まり、笑みが消え、感情を失ってしまったかのかと疑いたくなるほどの無表情で、尋ねる。
「……何が言いたいんですか?」
「お前が得意なのは肉弾戦でも近距離戦でも遠距離戦でもない……“魔力の扱い”」
アランは何も言わない。
キャトルもそれ以上は言わない。
しばらく2人の間に沈黙が流れ―――――先に口を開いたのは、アランだった。
「話にならないな。魔導士なら魔力を扱えて当然でしょう?」
「誤魔化すつもりか?」
「いいえ?誤魔化す事なんて僕にはありませんから」
肩を竦め首を横に振るアラン。
それに対し、キャトルは更に言う。
「それは間違いだな。お前には確実に1つ、周りに誤魔化している事がある」
「ありませんよ、そんな事。ギルドの皆さん、ウェンディとココロにまで隠してる事なんて」
「そうか……飽くまでもしらばっくれる気なのだな。なら、私が言ってやろう」
その言葉に。
アランの表情が、固まった。
頬を一筋の汗が流れ、視線が小さく彷徨い、やがて溜息をつく。
「……どこで知ったんですか?」
「闇ギルドには闇ギルドの情報網がある。お前の力を欲し、返り討ちにあった者達の事も当然知っているさ」
「別に返り討ちになんてしてないんですけどね…理不尽に怒られて殺されかけたら、身を守ろうとするのは人間として当たり前だと思いますが」
笑うように言葉を紡ぐキャトルに、アランは呆れたように首を横に振った。
小さく首を傾げて微笑み、キャトルは告げる。
「魔法格闘術なんていう存在しない魔法の相手は飽きた。お前の本当の魔法を使え、アラン・フィジックス!」
意識が朦朧とする。
保とうとしても瞼が降り、慌てて開き、また降りる。
ズキズキと横腹と左足の傷が痛み、白いジャージを赤く染め上げていく。
(くそ…毒か……もっとマシな死に方ねーのかよ畜生……)
腕も足も動かない。
エウリアレーに手を伸ばす事も、当然出来ない。
銃弾魔法を使えばどうにかなるだろうが、周りの状況を確認出来ない今、下手をすれば自分も危うい事にスバルは気づいていた。
(悪ィ、クロス…オレ……もう…ダメみたいだ)
瞼が降りる。
がくり、と力なく俯く。
―――――――――そして。
「諦めるな!この大馬鹿者が!」
声が、響
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