動き出す語り部
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「な…」
「ゴメンね〜♪アタシの攻撃が足貫いたみたい。痛くて立ち上がれないかな?」
可愛らしく首を傾げてみせる。
その行動を含め、目の前に立つ少女2人の全てを一瞬にして嫌いになった(元々好いてはいなかったが)スバルが、腰に装備するエウリアレーに手を掛ける―――――前に。
「させない」
「!」
ぎゅるん、と。
どこから伸びてきたのか、蔦がスバルの両手首を絡め取った。
続けて足首も掴み、フレシュは呟く。
「クラッベ、あとはお願い」
「はいは〜い、任せちゃってよ!」
おどけて敬礼したクラッベは、ボウルの中を泡立て器でしゃかしゃかとかき混ぜた。
ボウルの中に魔法陣が展開し、泡立て器に光が灯る。
ピッ、と泡立て器をスバルに向けたクラッベは、明るい無邪気な声で告げた。
「小球型菓子の密室!」
その声に応えるように、魔法陣が輝く。
刹那、ピンク色のマカロンが上と下、両方からスバルへと向かってくる。
必死にもがくが―――――遅い。
「はい、終了っ!あとは毒の霧発射で死ぬのを待つだけっ」
クラッベの明るい声が響く。
毒の霧が充満し始めるマカロンの中に、スバルは閉じ込められてしまったのだった。
拳同士の戦い。
片方は時に炎を、時に電撃を纏い。
片方は魔法籠手を装備していた。
「なかなかにしぶとい。先ほどの言葉は訂正しよう。お前は十分強い、肉弾戦を得意とする強者だ」
「称賛を否定したくはありませんが、僕は強者じゃありません。妖精の尻尾には、僕より肉弾戦を得意とする人だって大勢いる」
薄く微笑む“金牛宮”キャトルに対し、アランは少し冷めたような口調で返す。
傷ついた右拳を撫でながら、アランは睨むようにキャトルを見た。
(魔力量も戦歴も、彼女の方が遥かに上だ。相手は威力や攻撃法を自由に変更出来るけど、僕には属性変更しかない……あまり長期戦にはしたくないかな)
化猫の宿にいた頃は、密かに最強だと言われる時もあった。
が、それは周りが幻だった事やウェンディが戦闘系魔法を使えなかった事、ココロがあまり戦いたがらなかった事など、いろいろあっての最強。
だから、アラン本人は自分が強いとは思わない。ウェンディとココロの方が強いんじゃないかとさえ思う。
「だが……お前の真骨頂は肉弾戦ではない。そうだろう?アラン・フィジックス」
名を呼ばれ、顔を上げる。
そこには、変わらず薄く微笑むキャトル。
が―――――その笑みが笑みと呼ぶべきモノではない事に、アランは気づいていた。
「一体何の話ですか?僕は肉弾戦専門の魔導士です。まさか、スバルさ
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