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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
力の契約
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だがそれでも、腰が抜けてしまい、さらには指一本動かすことができない。
それ以前に五行符が効かないのは先ほど一輝が放ったのを取り込まれたのを見て理解している。自分が使うものの何百倍もの威力を持つそれが無効化されたのだ。元々ないに等しかった自信すら失っている。それでもまだ、何かできないかと手段を探せているのはもはや奇跡と言っていいだろう。
そして・・・それだけの強い意志に、神は答えた。

『強い意志・・・圧倒的な敵に対してそこまでの瞳を持つとは、感心です。』
「だ、誰・・・?」

虚空から聞こえてきた声に対して、湖札はそう声を漏らす。
その声に反応したのか何なのか、湖札の周りに強風が吹き荒れ・・・それが収まると、一人の女性が現れた。
いや、正確に言うのなら・・・一柱の女神が現れた。

「貴女は・・・?」
『おや、私の名を知りませんか・・・しかし、ここは異郷の地。さらには貴女は幼子なのですから、仕方のないことなのかもしれませんね。』

湖札がその神のことを知らない様子に、しかしその神は気分を害さなかった。

『なんにしても、私の名を知りたいのであれば自らの手で知って見せなさい。』
「私の、手で・・・?」
『ええ。もしもう一度出会う事があったなら、その時にまた聞きましょう。私の名を当てられたなら、褒美をあげましょう。』

楽しそうに話している女神に対して、湖札はだんだんと心を開いていた。
それもまた女神の持つ力の一つなのだが、湖札がそんなことを知っている道理はない。

『それで、どうしたいのですか?貴女はこの状況に対して、何をなそうと欲します?』
「何を・・・?」
『ええ、何を。・・・いえ、それよりもまず、貴女は彼のことをどう思っているのか。そこから訪ねさせて頂きましょう。』

その問いかけに対して湖札は何と答えればよいのか分からなかったが・・・しかし、心の中でざわめく何かを感じてはいた。

「どう?・・・?・・・???」
『なるほど、まだそう言った感情を理解できてはいませんか。ですが、それだけの自覚があれば十分でしょう。』

それだけの自覚。そこに込められているのは、少なくとも彼を失いたくないと考えているという意味だ。

『では、再び問います。貴女はこの状況において、どうしたいのですか?』
「どう・・・」
『ええ、どう。この場から逃げ出したいのか、今のこれがなかったことになってほしいのか。』

湖札は無意識のうちに、その二つを否定した。
そして、こちらもまた無意識のうちに口を動かして・・・

「・・・お兄さんの、力になりたい。」

そう、伝えた。
その言葉の中にも違和感が存在していたのだが、内容は完全に本人の気持ちだ。

『そうですか。その気持ちに偽りはありません
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