16:極上のマネキン
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「オッケー! 待ってたよーっ」
「腕が鳴るわね。やっぱり、女の子はオシャレじゃないとね!」
「ユミルちゃん、心配しなくても大丈夫ですからね。ユミルちゃんなら似合う服はいっぱいありますからっ」
アスナが笑顔と共に気合充分に立ち上がり、腕の袖を捲り上げるリズベット。シリカは眠るピナを一旦ソファに寝かせ、胸の前で手を組みながら洋服屋の店員よろしくニコリと笑いかけている。
「え、えっ……?」
ユミルがすっかりテンションを上げた三人を見て目を泳がせている。
そんな彼女の手首を、アスナがむんずと掴んだ。
「な、なにっ……?」
「ハーラインさん達と狩りに出る集合時間まで、あと大体一時間かぁ……。でも大丈夫、わたし達なら間に合うよ! よしっ、シリカちゃんはこのままわたしとすぐにユミルちゃんを服屋と雑貨屋に連れてって、一緒に似合う戦闘服とカスタマイズに使う布地を見繕っちゃおう! リズは……」
テキパキと指示を飛ばすアスナに、リズベットは、その言葉は言わずもがなとばかりに、言い終わらないうちに胸を拳でドンと叩いた。
「任せなさい! その服の上から装着するアーマーを今から特急で打ってあげるわ! ユミルちゃんの動きを阻害せず、かつギリギリまで防御力不足をカバーできる特製軽鎧をね! ……マーブルさん、炉を借りていいですか? それに素材もあるだけ売ってください!」
それを聞いたマーブルはしれっと、しかし満面の笑みで頷いた。
「もちろんよ。ユミルの為なら、炉も素材も好きに使って頂戴。あと……うふ、私も手伝って良いかしら? リズちゃんから鍛冶スキルの勉強もさせてもらいたいし♪」
「バッチ来いです!」
リズベットは手をグッと握り、鼻息荒く目を輝かせて応えた。
「ちょっ、ちょっと……!?」
もちろん、慌てふためくのはユミルである。
女子力がステータス以上に高いのであろう彼女達による、金髪碧眼の美少女という極上のマネキン相手でのコーディネート大会となるや、その豹変っぷりにユミルは目を白黒させている。
……ここだけの話、正直俺も、彼女らの予想以上斜め上のリアクションに「うわぁ……」と内心、一歩ドン引く程に驚いている。
「さぁ、時間がありません。行きますよ、ユミルちゃんっ」
「ちょっと待っ――わっ!?」
アスナと反対側のユミルの手首を掴んだシリカは、アスナと揃ってダッシュで出口へと駆け出して行った。ユミルはまるで鯉のぼりのように半分地から離れる形で引っ張れられ、悲鳴も無く外へと姿を消していった。
鍛冶職人の二人も、メニューから呼び出したハンマーを手に、足早く店の奥へと向かっていった。
そして、俺はというと……
「……ご|愁傷《し
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