第三話〜思念と出会い〜
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が、すぐに気を引き締め、口を開く。
「貴様がマーク・ギルダーであるのならば、恐らくそうだ」
高圧的にも聞こえるその言葉に、普通ならムッとするところだが、彼女のどこか気品のある所作やまとう雰囲気がそれを感じさせること無く会話を続けさせる。
「まずは受け入れてくれたことは感謝する。それとここの雰囲気が浮き足立っているのはこちらが原因だ」
その言葉に一瞬眉をひそめる彼女であったが、視界に映るバナージの憔悴した姿を確認すると合点がいったという風に一度目を瞑り頷いた。
「こちらはそちらの要求通り、交渉の場を用意した。私はその案内役を引き受けたのだが…………今すぐ来られるか?」
彼女の視線が自分の背後にいるバナージに向かう。その彼女の視線が一瞬ではあるがこちらを気遣うものに変わる。その彼女の反応にマークは好感を持つが、そんな自分を単純とも感じた。
マークが内心で、相手側との会談には自分を向かわせ、そしてバナージはこの場で休憩も兼ねて待機を命じようと半ば決定を下した時、背後からの聞こえる音に気付く。
「……行きます」
弱々しい雰囲気ではあるが、そこには確かに自分の力で立つバナージがいた。
「本人がそう言っているのなら、すぐに行くのでも構わない。…………生憎と正装はないが、そこは目をつむってくれ」
バナージの体調をしっかりと確認したわけではないが、マークは返答をする。
少なくとも、それはマークがバナージの事を蔑ろにしているのではなく、最大限彼の意見を尊重してのことである。
(男の見栄はバレた時に恥ずかしいぞ)
心の中で忠告を送るマークであったが、もちろんそんなモノが聞こえるはずもなく、フラつく身体を動かそうとするバナージの姿がそこにはあった。
帝国軍基地・一室
マークとバナージの二人は案内役の女性に連れられ、機体を置いたハンガーにある程度近い軍施設の建物に向かっていた。
移動中、二人は案内役である女性から名前を告げられる。彼女の名前は月詠真那と言われ階級は中尉らしい。ある意味で傭兵である二人には名前を教えてくれるだけで良かったのだが、軍人としても人としても真面目な彼女からの言葉を大人しく聞いていた。
そして彼女はまず、今回の戦闘の援護活動に対して個人的な感謝の言葉を述べる。特にバナージには、窮地を救ってもらった事が大きかったのか、彼には頭も下げるほどである。
当の二人は困惑気味であったが、礼を言われて嬉しくないことはない為、その場は素直にその言葉を受け取っていた。
そんなやり取りを行っている内に、三人は軍施設の建物内の一室に到着する。まず、月詠が部屋の入室の際に堅苦しい言葉を述べてから、部屋の扉を開ける。
そのやり取りにマークは若干うんざ
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