第三話〜思念と出会い〜
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き、床につっかえながらも人が通れるだけの空間をつくる。
こぼれ落ちるように出てきた白のパイロットスーツに包まれた身体を受け止め、マークはヘルメットを外してやる。
すると顕になった彼の顔は苦悶に歪み、真っ青になった唇は何かを押さえ込むように閉じられ、顔色は真っ白になっていた。
近づいてきた周りの兵士は、まずパイロットの幼さに驚き、次いで彼の顔を見ると更に息を飲んでいた。
『マークさん、バナージさんは!?』
これまでのやり取りを機体から全て見ていたトビアが外部スピーカーを使い訪ねてくる。
内心で『インカムを使え』と思ったが、仲間を心配して聞いてきたことであった為、怒るわけにもいかないと自分を納得させながら彼は口を開いた。
「無事だ、いつものフィードバックだろう。トビア、機体を起こせるか?」
『そうですか……やってみます、退避を』
マークはバナージの腕を自分の肩に回し、支えるように身体を立たせる。そこで初めて彼は自分たちがいる場所がトビアの機体からは死角になっていることに気付く。
(インカムを使えなかったのも当然か……)
そんな事を考えながら、マークはユニコーンの下から出てくる。
そしてその場にいる兵士たちに再び銃口を向けられるだろうことを思い出すと、早急に出てきた事を後悔しそうになったが、今はバナージを落ち着ける方が先だと思うことにした。
しかし、予想に反し彼らに銃口を向ける者はいなかった。流石に病人のような状態の子供に銃を向けるのは躊躇われたらしい。
これ幸いとマークは、その格納庫の出入り口の近くで風通しの良さそうな場所に向け足を動かした。
「なんの騒ぎだ?」
マークが近くの壁にバナージをより掛け、トビアが自機よりも一回り大きい機体を立たせることに成功した時分に彼女はその場に現れた。
出入り口近くに移動していたマークは比較的近くで彼女の姿を視認する。
彼女は特徴的な長髪をおろし、赤くチャイナ服を連想させるような服を纏い、どこか鋭さを持った目をしていた。
彼女はハンガーに足を踏み入れてから感じた、どこか浮き足立った雰囲気を感じたが故に先ほどの言葉を零していた。もちろん、所属不明の客人を招き入れるといった非常事態であるため、いつもと空気が違うであろうこと自体は予測していたが、その空気がどこか警戒ではなく困惑といった雰囲気であった為に彼女は混乱したのだ。
彼女の声を耳にし、その困惑している雰囲気から自分が接触した赤い機体のパイロットであると察したマークはとにかく声をかけることにした。
「先ほどの赤い機体のパイロットか?」
声をかけられ、そこで初めて自分の近くにマークとバナージがいることに気付いた彼女は、一瞬バナージの姿を見て驚いたような表情を見せる
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