第百七十二話 戦を振り返りその五
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「倒してもらおう」
「言うたな。それではだ」
「皆いいな」
煉獄の声の家康が他の家康達に問う。
「今から盛大に戦うぞ」
「十人を選び」
「そのうえで」
「ああ、わし等の戦だ」
それをするということになった、そして。
煉獄に大蛇、拳、煙、鞠、からくり、あや取り、獣、ヨハネス、風が出た。命と鏡は残った。その十人から煉獄が言ってきた。既に家康の面は取っている。
「じゃあいいな」
「ああ、楽しもうぜ」
猿飛がその煉獄に楽しげな笑みで応える。
「真田十勇士の力を見せてやる」
「こっちこそな。飛騨者の力見ろよ」
「じゃあな」
「やるぜ!」
両者は互いにぶつかり合った、凄まじい量の手裏剣が嵐の如く舞い飛び。
刀と刀が打ち合う音がした、銀の火花が飛び散り術と術がぶつかり合う。忍達は宙を駆り地を蹴って舞う。そうして。
激しい、人のものとは思えない戦が展開された。それは後詰の中において自身も忍の術を使い戦っている服部も驚くものだった。
「あの者達は違う」
「はい、忍術といえども」
「妖ですな」
伊賀の者達が服部に応えて言う。
「あれはまさに」
「その域に達しています」
「飛騨者、真田十勇士共に」
誰もがだ、何かというと。
「一人一人がわしに勝るとも劣らぬ」
「それだけの者達があれだけいるとは」
「天下は広いですな」
「わしも負けておられぬ、だが」
それでもだとだ、服部は唸って言った。
「あれだけの忍を一度に持っておるとは」
「織田、武田は」
「強い筈ですな」
「右大臣殿もだが」
飛騨者達の主である信長についても言及した服部だった。
「武田信玄、そして真田幸村もな」
「あれだけの者達から忠義を受けるとはですな」
「どちらの御仁も」
「恐ろしい」
その器がというのだ。
「特に真田幸村はな」
「今も井伊殿と一騎打ちをしておりますし」
「恐ろしい男ですな」
「あの者は天下の者じゃ」
服部もこう言った、幸村を。
「まさにな」
「敵ながら見事」
「そう言うべきですか」
「敵であるだけに恐ろしいがのう」
だがそれでもだ、幸村が見事な者であることには違いないというのだ。そしてその彼の下にいる十勇士達もだ。
何とか井伊と飛騨者達が止めている、それがなければだった。
「徳川家はこの戦で終わっておったかもな」
「武田に踏み躙られていましたか」
「完全に」
「そうなっていたかも知れぬ」
そこまでだ、武田は強く幸村達は見事だというのだ。
「全く恐ろしい者達じゃ」
「しかし何とかですな」
「敵を止めておりますな」
「うむ、ではな」
それではとだ、幸村も言ってだった。そのうえで。
徳川軍は何とか戦場を退いていく。武田のまさに地獄の炎の様な攻めを凌
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