DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第四話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「何なんだこいつらは!」
「くそっ!一体どれだけ出てくれば気が済むんだ……!」
黄金の一撃が打ち砕き、氷河の斬撃が切り払う。だが、輪郭のはっきりしない闇色の蛇たちは消え去らない。緑色の瞳をらんらんと輝かせて、いつまでもいつまでも増殖を続ける。
『十九八七六五四三二一〇
いと尊き我が兄にこの誓いを捧げよう』
響くのは漆黒の祝詞。こだまする邪悪なざわめきが、さらなる増殖を生み出していく。
『心せよ、旅人よ。
緑の瞳の獣に出会ってはならぬ。
なぜなら其れは嫉妬の亡霊。
行きとし生ける者をねたみ続ける
楽園の愚かな蛇の亡霊』
影の存在するあらゆるところから、漆黒の蛇は姿を現し続ける。そして増えたそれらが生み出す陰から、さらにまた一匹、一匹とその数を増やしていくのだ。
央都に向けて歩を進めるラーヴェイとコクトが、この不気味な闇の蛇たちと戦いを始めてから、既に二十分近くが経過している。ラーヴェイの《ギア》である巨大ゴーレム《イフリート》も、その輝く黄金の炎の威力を弱めてきたような気がする。コクトの《ギア》、《冥刀・凍》の切れ味も、戦闘開始前と比べれば相当悪くなっている。
『――我が兄に、Gloria――
《生餌求めし亡霊蛇》』
蛇たち個々のステータスは恐ろしく低い。切りつけるだけで霧散する。影の蛇たちの恐ろしい所は、いくら潰しても潰しても無限数に再び出現するところだ。すでに視界の大半は闇色の蛇の姿で埋まっている。
「イフリート!《ゴールド・スマイト》!!」
『ギガガガガガガッ!!』
《イフリート》の黄金の一撃が、闇色の蛇を大きく減らす。だが、つぎの瞬間には空いたスペースに新たな蛇たちが流れ込み、彼らが抜けたところには新たに蛇が生成される。らちが明かない。どれだけ攻撃をしても消えないのであれば、勝てないのとほぼ同義である。
上空を飛んでいく、という考えもあった。が、蛇はコクトやラーヴェイがジャンプして通り越せる距離をはるかに超えた場所まで出現している。唯一の頼みはイフリートの飛行機能だが、足元を蛇で覆われているために飛行することができないでいた。ちなみにこの蛇たちを切り払うことにも挑戦してみたが、すぐに新たな蛇が出現してしまい意味がなかった。
響く漆黒の祝詞の声に聞き覚えがあった。《白亜宮》による全仮想世界への侵攻を宣言した少女、ノイゾ・イクス・アギオンス・レギオンビショップのものだ。恐らくはこの黒い蛇は彼女の能力。
強い。コクトは無意識のうちにそう感じていた。蛇たちのことではない。彼らの操り手であるノイゾのことだ。個々の力は非常に弱い闇の蛇たちであるが、そ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ