全国10カ所の妖気
東方変形葉42話「岩手・慰霊の森、そしてついに・・・」
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「なるほど・・・。そうなると早く終わらせて向かわないと。」
朝になり、机に置かれていた手紙を読んだ。開封した跡があったので、おそらく蓮子やメリーも読んだのかもしれない。
「今日は岩手・・・。昨日よりもさらに強いところ。」
それを想像すると、恐ろしくなる。ただでさえ昨日、危ないところだったのに。
こんな感情は初めてだ。手が震え、体が震え、足が震え、動悸が激しくなる。
「むにゃあ、おはよ〜・・・きゃっ!?」
姫雪の声が後ろからした。俺は無意識に姫雪に抱きついていた。
「ゆ、裕海様?どうしたの?」
「・・・姫雪、もう少しこのままでいてほしい。」
自分でも意識的には思っていなかったことが無意識に口から出る。恐怖に震える声が。
「・・・もしかして、こわいの?」
「・・・ああ、そうだ。俺は今、怖くて怖くて仕方がないんだ。」
少し抱きつく力を強くする。ぎゅっと抱きしめ、恐怖を和らげる。
「そっか、裕海様は力は強くても人間だもんね。怖くなるよね。」
姫雪も、抱きしめる力を強くする。
「・・・ごめんね、こんな頼りない師匠で。」
「ううん、頼りないだなんて思ってないよ。裕海様の可愛いところが見られて私は満足だよ。」
いつの間にか、俺の目から熱いものが流れていた。
心が落ち着いてくる。恐怖の感情は、いつの間にか消えていた。
「ありがとう、姫雪。だいぶ心が落ち着いたよ。」
抱きついていた姿勢を元に戻す。と、今度はあぐらしている俺の膝の上に乗ってきた。
「えへへ、裕海様の恐怖が完全に消えるまでこのままでいるね。」
そういって、俺の胸に後頭部を当てる。寝息が聞こえてきた。
安らいでいた心はさらに安らぎ、恐怖は完全に消え、代わりに前向きな心が生まれた。
慰霊の森。ここにはある飛行機が墜落したそうだ。全日空機雫石衝突事故という、乗客・乗員全員162名の命が犠牲になったという極めて悲惨な事故だ。
長い階段を抜け、慰霊碑のあるところに辿り着く。
「ここよ。無理しないでね。」
確かにそこには境界があった。メリーがスキマに入り、家に戻る。
「2人とも。いい?」
「「うん!」」
人形たちに確認し、境界の中へと入った。
境界の中は、青暗かった。そこには、着物姿の男性の姿があった。
『あん?人間がどうしてここにいる。』
「お前を退治に来たからだ。」
そういうと、男は笑い、
『はははははっ!喰らえ!』
すぐに攻撃を開始した。日本刀を構え、素振りをする。その衝撃波が俺を襲う。
「くっ!!」
なんとか避けたが、顔の2カ所に傷をつけた。
「“風の変化”」
扇子を取り出し、最終レベルの風をおこす。風は能力によって不規則に流れ、予測できないところから風が吹く。
『はん、その程度の風で私が吹き飛ぶとでも思っているのか!』
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