―激戦―
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きた者だったり、この異世界の原住民だったりと、《ヒロイック》の戦士たちではない者たちで構成されている。
《ヒロイック》の戦士たちが建てた作戦はこうだ。自分たちのようなイレギュラー隊が囮となって闇魔界の軍勢と戦っている間に、ヒロイックの本隊が囚われのデュエリストを救出する。そして救出したデュエリストとともに、そのまま闇魔界の『覇王』の元に攻め込んでいく。
……要するに捨て駒だった、自分たちは。
「戦士の諸君! 今こそ出陣の時だ!」
ヒロイックのリーダーであるスパルタスの声とともに、戦士たちの雄叫びが格納庫を支配した。……ヒロイックの戦士たちだけではなく、自分たち捨て駒部隊も例外ではなく。隣の竜に跨がっていながら雄叫びをあげる、傷だらけの《切り込み隊長》を冷めた目で一瞥しながら、自分は自分だけで決意を固めた。
必ず生き残ると。明日香を見つければ……彼らを見捨てて逃げることも辞さない、と。
「あ、の……」
……そんな仄暗い決意を固めている俺の《漆黒の闘竜》に、もう一人の人物が乗って来た。……彼女にも最後までお世話になったものだ。
「リリィ、お前はこっちの部隊じゃないだろ?」
元々ヒロイックの戦士たちの仲間だったらしい彼女が、こんな捨て駒部隊に配属される訳もなく、彼女の役割はヒロイックの戦士たちとともに、囚われのデュエリストを救出すること。ここの自分の立場をわきまえた突き放した口調で話しかけるが、リリィが《漆黒の闘竜》から降りようとはしなかった。
「……降りろ。降りてくれ」
彼女の方に顔を向けずにもう一度改めて言うと、視線を向けていない俺の背後でもぞもぞと動く音がした。ようやく降りてくれたか――と思った矢先に、片手が温かい感覚に包まれた。
「わたしが絶対に、あなたの大事な人を助けます……ので、死なないで、ください」
耳元でそう呟かれるとともに、片手を包み込んでいた温かい感覚が消えていく。そのままリリィは俺たちが乗っている《漆黒の闘竜》から飛び降りると、足早に自分の持ち場へと駆け出して行った。救出部隊は竜に乗るのではなく、目立たないように陸路を行くのだったか。
「――出撃!」
感傷に浸る間もなくスパルタスの怒声が響き渡り、地上への道筋のように天井が開くとともに、地上の光とともに格納庫にいる竜たちが一斉に飛び上がる。自分も他の戦士たちに習ってリリィから借りた《漆黒の闘竜》を発進させると、異世界の大空へと飛び上がっていった。《闇魔界の龍騎士 ダークソード》と戦った蒼穹を逆走していくと、しばらく経たないうちに闇魔界の軍勢が居城としている、この異世界の中心が見えてくる。
そのまま《漆黒の闘竜》を降下させようとすると、一斉に城壁から対空放火――いや、《対空放花》が
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