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家長カナの奇妙な冒険
『静止した世界』の片鱗
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子を窺っていたのは……耕太の事務所にいた女性だった。

そして、女性はその場を静かに去った。

「ば、馬鹿な!?お、お前、な、何をした!」

「…………死に行く貴方に、教える事なんてありません。」

そう言い残し、カナは去っていった。














《小山田霊能事務所》

「そうですか……。カナちゃん、ついに止めた(・・・)んだ。」

「……はい。」

「わざわざ、見に行ってもらってすみません。夜雀さん。」

「……構いません。私にとっても、カナは可愛い妹ですから。」

「……そうですか。夜雀さん、よろしければ、お供してもらってもいいですか?」

「……どこかに、お出掛けでも?」

「奴良組の本家です。」















《奴良組・本家》

出入りから帰ってきたリクオ達の様子が、明らかにおかしかった。

「おい、お前ら。どうした?」

「親父……。」

『二代目……。』

「なんだ、お前ら。旧鼠はどした?」

「実は……。」

奴良組・突撃隊の黒田坊が、今まで起こった事を話した。

「……そうか。」

鯉伴はそうこぼした。

無理もない。

旧鼠を葬ったのは、リクオではなくカナだったから。

(しかし……“瞬時に移動”、“いつの間にか、殺られている”、一体……どういう事なんだ……。)

「ごめんください!」

『……?』

真夜中の来客……奴良組総員が頭を傾げた。

数分後、若菜がパタパタと駆け足で現れた。

「若菜、どした?」

「鯉伴さんに、お客さんだよ。」

「俺に……?」













鯉伴が玄関に向かうと、耕太と手土産を持った夜雀の姿があった。

「すみません、夜分遅くに。私は〜「『近畿妖怪任侠総元締』小山田組・組長の小山田耕太、だよな。」……やはり、貴方には分かってしまいましたか。」

「あぁ。しかし、驚いたぜ。お前が、カナちゃんと顔見知りだったとはな。あっ、この話、リクオから聞いたから。」

「……カナちゃんには、全てを話した上に、五分五分の盃を交わしましたから。」

「お前が、五分五分の盃を!?」

「……そんなに、驚きます?」

こっち(妖怪任侠)の世界じゃお前は滅多に、盃を交わそうとしない奴って有名な話だからな。……それより、今日は何の用だ……?」

「なに。恐らく、そちらでは、カナちゃんの事が話題になっているのではないかと思い、貴方に答えを教えに来ました。」

「あぁ……そうだ。で、カナちゃんは一体、何をした……?」


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