縋る者と応える者
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悪魔といっても様々、俺の様に元々は別の生き物が転生を受け悪魔となった者は転生悪魔といわれ、主人を持ちその主人に従い命じるままに仕事をこなす…主たるものとして契約という物が存在する
人を対象としたものであれば簡単に例えれば対価を得て契約を交わし、その者の欲望を叶えるという物がある
欲望とは多種多様な物で、彼女が欲しいだとかお金が欲しいだとか考え付きやすい物だったり特別な力が欲しいとか別の生物と会話がしたいとか、世間一般の考えから言えば叶う筈も無い物もある
悪魔の力の大きさによって可否は分かれるが相応の対価を得れば今挙げた例はどれも叶えられる物に分類される
そして今、俺はその契約を得る為に召喚の呼び声に応えたのだが…
「お兄ちゃんに会いたいの…」
俺を呼んだのはまだ幼さの残る少女だった、何処から知ったのか悪魔に頼る様な娘には思えない呼び主に俺は困惑していた
「本当に君が俺を呼んだのかい?それにお兄ちゃんに会いたいって…?」
「ママとお出かけした時に綺麗なお姉さんからこれを貰ったの…お願い事を聞いてくれるって…」
少女が持っていたのは一枚のチラシの様な紙、俺達悪魔が活動しやすい様にと先輩が眷属を使って配っていた物だ、友達が同じことをしていたからマネをしたとか言ってたな
「それで…俺を?」
「うん…」
何がどうなって召喚が成立してしまったのか、少女は悪魔を呼び寄せてしまった、本来であれば対価の払えそうにない者の願いは聞き入れられないのだが
「会いたいの…お兄ちゃんに…」
今にも、泣き出しそうな彼女に君の願いは聞けないと突きつけることは俺には出来なかった、話を聞くだけ聞こうそう思った
「お兄ちゃんに会いたい、それが君のお願い事なんだね?」
「うん…」
「どうして?」
「ずっとお家に帰って来ないの…また一緒に遊ぼうねってお約束したのに…帰って来ないの…」
「君のお母さんお父さんはその事を知っているのかな?」
「…帰って来られないんだって…今は教えてもらえないけど、ちゃんとしたりゆうがあるんだって」
予想はしていた、だが実際彼女自身の口から聞くと流石にくる物があった、部屋を見回すと勉強机だろうか仲の良さそうな家族の写真が飾られている
彼女の兄は恐らく亡くなったのだろう、彼女の両親もまだ幼い彼女に兄の死を告げることは出来ず、結果彼女は待ち続けていた
「…お兄ちゃんに会いたい」
健気に待ち続けていたのだろう、だがどれだけ待った所で彼女の兄は彼女が待つ家には帰らない、死者が甦る事は俺達の様な例外を除いてあり得ないことなのだ…あり得ない事なのだが…
「それじゃあ、俺と君
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