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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
26.闇の侵蝕者たち
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?」
ヴァトラーは、生真面目な雪菜の反応を愉快そうに眺めている。
「三柱しか存在しかしないはずの吸血鬼の真祖に、なぜ四番目が存在するのか。四番目が生み出された理由はなんなのか──古城が完全な第四真祖になれば、それがわかるかもしれない。その状態の古城と戦って、彼を喰うのも面白そうだ」
ようやく本性をあらわして、ヴァトラーが笑う。普段は見せないくらいの笑みだ。
「アルデアル公……あなたは……」
雪菜が無意識的か槍を握り直して、ヴァトラーを睨む。紗矢華も、同じように敵意を剥き出しにして剣を構えていた。
「そんな怖い顔をしなくても大丈夫。まだ当分先の話だよ。せっかく見つけた愛しい
強敵
(
ヒト
)
だ。存分に楽しませてもらわないとね」
雪菜たちの反応を満足そうに眺める。
そして唐突に彼の視線は友妃へと向けられた。
ヴァトラーはとても愉快そうだ。
「なんですか、アルデアル公?」
「いや、きみが彩斗の監視役に選ばれた理由もなにかあるのかと思ってね」
ヴァトラーの口元だけでわずかに笑う。
「通常では殺すことができないはずの真祖をも殺すといわれる“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”とは一体なんなのか? それほどの力を持っていながら何故、真祖と呼ばれず、真祖殺しと呼ばれたのか?」
ヴァトラーは先ほどよりも愉快そうに笑みを浮かべる。
彼がいうことには一理ある。なぜ真祖を殺す力を持っているのか。そもそもで彩斗は本当に真祖を殺せるほどの力を持っているのだろうか。
それは真祖に匹敵しながら真祖ではないという矛盾した存在の“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”とは一体なんなのだろうか。
「教えてやろうか? “
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”がなんなのか」
聞き覚えのない声が虚空から響いた。
その場の全員がそちらへと目線が向けられた。桟橋の奥から人影が姿を現した。
夏の制服のような格好をした男。金髪の髪が襟元まで伸びており、チャラいイメージがある。歳は友妃たちと同じくらいの歳に見える少年だ。
「監獄結界の脱獄囚……!」
雪菜たちが、武器を構える。
だが、少年の左腕には、鉛色の手枷が嵌められてはいなかった。つまり彼は監獄結界の脱獄囚ではない。
「メインゲストはあっちのようだネ」
呟くようにヴァトラーの全身から、禍々しい殺意の波動が放たれた。彼の睨みつける先には、見慣れない大柄の人影があった。
巨剣を背負い、全身を黒い甲冑で包んだ男だ。無造作に伸ばした灰色の髪が、野獣の鬣を連想される。男の肌の色は鋼色。
彼の
籠手
(
ガントレット
)
に覆われた左腕には、鉛色の手枷が嵌められている。
男が背中の巨剣へと手を伸ばす。しかし彼が動く前に、ヴァトラー
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