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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
26.闇の侵蝕者たち
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。
「ファイト」
そう言い残し、彩斗は船の甲板へと向かう。その最中に古城からの怒声が飛んでくるが完全に無視をした。
甲板に出ると夜の蒸し暑さがあると思ったが、船の上ということで風が吹き抜けてとても開放感がある。
そんな中、背中から突き刺さるような視線を感じる。
船内の二階。ガラス張りになっているフロアで彩斗を見下ろす少年が一人。
おそらく彩斗と同世代。身長も同じくらいだろう。銀色のタキシードを着ている美しい顔立ちの少年。
だが、そのまとっている雰囲気がかなりの攻撃的なものだ。
明らかな敵意剥き出しの表情で、彩斗を睨みつけている。
「俺がなにしたってんだよ」
ああいう奴は無視するのが一番だ、という今までの経験により彩斗は無視することにした。
再び、夜の闇に視線を向ける。
すると今度は携帯電話が鳴り響く。
「誰だよ?」
デイスプレイに表示される四つの文字列と電話番号に身を震わせた。
彩斗は恐る恐る通話のアイコンに指を触れ、スマートフォンを耳へと持っていく。
「も、もしもし……」
『……言うことがあるよね』
もしもしや、彩斗の名前を呼ぶでもなく唐突にとても冷たい声が携帯から流れ出てくる。
「と、おっしゃいますとなんでしょうか逢崎さん?」
彩斗はとっさに現状況では下手に出ることが自分の身を救うことだと直感が告げる。
友妃は変わらず冷たい声で続ける。
『ボクに言うことは本当にないんだね?』
彩斗は思考を巡らせる。
だが、一切の心当たりがない。あるとすれば友妃の吸血を断ったこと。それともこの状況のことなのだろうか。
「えーっと……わたくしがこの状況にいるという現状況のことでしょうか? それにつきましては、先ほど古城より報告され……」
『なんで彩斗君はボクに連絡がないの!?』
彩斗の言葉を遮って友妃が叫んだ。
「えっ! そ、それは、ちょっとバタバタしてて」
『でも、今は甲板の上にいるんでしょ?』
自分の位置を的確に当てられて彩斗は辺りを見回す。
「おまえ、どこかで見てるのか?」
『だってボクは彩斗君の監視役だもん』
当たり前のように告げられる言葉に再度、彩斗には落ち着ける時間がないことを確認した。
大きなため息が自然と洩れる。
「悪かったよ、この状況に俺もちょっとテンパってんだよ」
冷静さを装ってはいるが彩斗は心配でしょうがないのだ。監獄結界の脱獄囚たちが那月を狙っている。さらに浅葱や唯までもこの事件には巻き込まれている。関係ないとはいえ、脱獄囚たちが確実に狙ってこないとは限らない。
彩斗は皆を守り切ることが本当にできるのだろうか。
それに優麻だっ
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