志乃「手をどかして」
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そもの話、兄貴が私を無視して勝手にお風呂場から出てきたのが悪い」
「うっ」
いきなり正論を言われた。確かに、自分の楽しみを否定されてイラッときて言葉を返さなかったのは事実だ。志乃め、俺の話は無視するくせに、自分の話になると理屈を通してきやがって。理不尽だろホント。
「だからゴキブリジェットでそのファッキンで胸糞悪いそれを二度と使えないようにする」
「いやそれおかしいって!俺に一生小便我慢しろってのかよ!意図的に子孫作らせないって、
お前は悪魔か!」
やべえ、こいつマジやべえ。刑罰が重すぎる。つか、女子ってこういう時『きゃああ!』みたいに叫ばないの?今のこいつ、すげえ目が据わってるんだけど。
だが、そんな異常事態などお構いなしに、リビングの方から母さんの声が聞こえてくる。
「伊月―、早く出ちゃってよ。まだ志乃が風呂に入ってないんだから」
「分かってる!でも、そう言える状態じゃないんだよ!」
何とかして助けてもらおうと遠回しにSOSを求めたのだが、あのコス作り大好きな母にそれが通じるとは思えない。
そして、俺の予想はこういう時ばっかり的確にヒットしてしまう。
「はいはい、スッキリした後がめんどくさい状態なのは分かってるから」
ああもう、ホントここの人達おかしい。何がどうしたらそんな話になるのだろうか。きっとこの家族の先祖は遠い星々からやって来た宇宙人と親交して、血が混ざっちゃったんだろう。宇宙人に血があるかどうかなんてこの際どうでも良いわ。
「……しょうがない。兄貴の生涯を悲しいものにはしたくないから諦める」
その時、志乃がゴキブリジェットの噴射口を下げ、俺に背を向けた。マジか、許してくれた!
「でも、次に私に見せた時には確実に殺す」
……この家、風呂をもう一つ増設した方がいいんじゃないか?と心の底から思った俺だった。
*****
風呂で温まった身体は瞬く間に冷えてしまい、もう一回入りたいなーとか考えたが、この後志乃と機材についての話があるのでそういうわけにもいかない。風呂と志乃、どっちを取るかって言われたら、迷うけど志乃を選ぶな。その時の俺に拒否権は無いだろうし。
時刻は午後二〇時。そして、針がそれを丁度示した瞬間、志乃は手にカタログやノートパソコンを持ってやって来た。なんかチンドン屋みたいだな。
「俺の部屋にもパソコンあるぞ。何で持ってきたんだ?」
「兄貴のパソコン、二世代前じゃん。その上エロ動画見てるなら重くなりまくってて当然だと思って」
「古いのは認めるがエロ動画見てる事を前提にすんな。お前のパソコンだって母さんのお古だろが」
そんな刺々しいやり取りを済ませた後、志乃はカ
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