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相棒は妹
志乃「機材買おうか」
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しいの?」

 いや、そこまで深刻な話はしていないぞ。俺はただ、お前と賭けみたいな事をしようって言っただけなのに。そんな悲壮感丸出しの顔すんなよ。俺が虐めてるみたいじゃん。

 「たった一度のミスが大きなダメージをもたらす可能性を考えなよ」

 なんかマジな顔して妹が俺に訴えてくる。と、その次には顔を俯け、押し黙ってしまう。何か思うところがあるんだろうか。……俺は今の志乃の発言に少し心当たりがあるわけだが、あえてそれには口を出さない。確かに、今のは失言だったかも。

 「なあ、そんなにヤバい事言った?ま、志乃が嫌なら良いんだけどさ」

 俺が気を取り直して志乃にそう伝えると、志乃は少しだけ顔を上げ、最後には何かを決意したような目を俺に向けてきた。そしてはっきりとした声で宣言する。

 「いいよ、その賭けに乗ってあげる」

 その声を聞いてちょっと楽しくなってきた俺も、調子に乗って言葉を返す。

 「へぇ、いきなりやる気出したな。これまでお前の歌声聞いた事無かったから楽しみだ」

 「でも、その前にハンデ」

 「ハンデ?」

 「兄貴は課題曲を本気で練習してる。だから、もっと到達点を上げてほしい」

 なるほど。俺が提示した点数だと不安なのか。だから九三点じゃなくてちょっと点数を引き上げろと。志乃の奴、何気に俺を褒めているって事に気付いてないの?俺はだいぶ嬉しいよ。言葉に出したら言葉の暴力で返されるから言わないけど。

 「じゃあ、九四点でどう?」

 「もう一声」

 「九四.五点」

 「もういっちょ」

 まるで商品を値切るお客とそれに対応する店員のように、俺と志乃の取引は牛のよだれの如く行われていく。

 「じゃあ、思い切って九六はどうだよ」

 「さすが兄貴、モヤシ野郎だけど太っ腹」

 「イラッ」

 「軽いジョーク」

 こうして俺達の間に協定が生まれ、決戦の火蓋は正式な形で切られる事となった。

 ぶっちゃけた話をすると、昨日八九点を弾き出した俺が九六点なんて出せるわけが無い。そこまでの高得点を出すにはそれなりの時間と練習が必要だし、何より俺自身カラオケの中での最高得点は九五点。ここで自己ベストを出せたらすごいカッコいいが、俺にそんな余裕は無かったりする。

 後ろから感じるプレッシャーに心臓が勝手にバクバク言い始めるが、そんな事で気圧されないように深呼吸をする。これが意外に効果を発揮し、何故かリラックス状態になった。

 曲の前奏が始まり、俺は曲の歌詞に合わせて歌い出した。

 *****

 数分後。

 「何で、何でこんな事……」

 今にも泣きそうな俺に対し、志乃は上から目線のまま下卑た笑みを浮かべている。もはやゲームで
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