志乃「機材買おうか」
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が気になるかもしれない。主に、知人方面で。
「そういや、動画作りってどうやるんだ?」
「逆に、兄貴そんな事も知らないで気合い入れてたの?」
「わりい、とにかく曲覚えるので必死で」
志乃のジト目から逃れるように目を背け、俺は素直に謝りつつ言い訳をしておく。動画作りのいろはなど、ネットで検索する事すらしていない。
「機材はネットで注文する。値段が張るから、私と割り勘ね」
「どんぐらいするの?」
「私が知ってるのは二五〇〇〇円ぐらいのスターターセット。家電量販店とかにも見られるけど、あれは安いわりに性能良くないからね」
マジか。俺、なんとなくビックカメラとかヨドバシで買うのかと思ってた。ネット、つまり通販か。経験した事ないな。
「通販には私が登録してあるから、注文は私名義でやる」
「おお、それなら安心出来る」
とにかく、俺は投稿出来るぐらいまでに完璧にしないと。今日は五回ぐらい時間空けて歌おう。
会話が弾んでいたら、いつの間にか馴染みのカラオケ店に辿り着いていた。事件から一週間もしないうちに営業再開出来るなんて全然思わなかった。普通、ああいう場合って閉店になりそうなものだけど。
俺は昨日と同じように店員とのやり取りを済ませ、指定された部屋に移動する。カラオケ機器で歌う状態を俺好みに変えたりして、準備を終わらせる。志乃は自分一人でジュースを取りに行ってしまった。
にしても、ホント室内最高。午後のポカポカした心地良い暖かさは最高なのだが、花粉症というデメリットが俺に負荷を与えてくる。結果、こういう室内空間が一番落ち着くのだ。ありがたき現代。昔の人々の知恵に感謝だ。
少しして志乃が帰って来たので、次に俺がジュースを取りに部屋を出る。サイダーをグラスに注いで部屋に戻ると、志乃はすでにジュースを飲み干しており、俺とすれ違いでまた部屋を出て行った。そんなに喉渇いてたのかよ。昼飯食ったばっかりじゃん。
そして、志乃が帰って来ないうちに適当な曲を入力して、マスクを取って歌い始める。序盤は声出しに使うので、採点はしない。俺は声の準備が整うまでに三曲ぐらいで済むので、その先は全国採点を利用して自分の実力を確かめる。
志乃が途中から部屋に戻ってきて、俺が歌う様子を見ているのかは知らないがずっと沈黙している。最初は少し居心地が悪かったが、今ではこれも慣れていた。
だが、今日はなんとなくで『普段』をぶっ壊してみる事にした。
「なぁ、俺が課題曲を九三点以上出したら、志乃が歌うってのはどうだ?」
そう聞いてみると、これまで地蔵の如く固まっていた志乃は、一気にものすごい露骨に嫌な顔をする。え、そんなに嫌なの?
「兄貴は私に死んでほ
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