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トに来ない?」
「えっ」
強はその言葉を聞いた瞬間目が点になってしまった。
「あの、美輪ちゃん今何て」
「だから私の家に来ない?」
彼女はまたそう言うのであった。強に言い聞かせるかのように。
「それじゃあ駄目?」
「えっと、いいの?」
二度言われてようやく話が飲み込めてきた。それでやっとまともに問い返した。
「本当に」
「嘘でこんなの言わないじゃない。それにこのままだと本当に風邪引くわよ」
「ううん」
これは美輪の言う通りであった。このまま雨に打たれていては風邪を引くのは目に見えている。美輪はそのうえで強に選択を迫る形になっていた。
「どうするの?」
「それじゃあ」
強は戸惑いながらも美輪の言葉に応えた。恐る恐る尋ねるようにして問う。
「いい?」
「ええ、じゃあ」
「うん」
強は頷く。これで決まりであった。
「雨が強くなってきたから。すぐ行きましょう」
強の左手に自分の右手を回してきた。もう話は動いてきた。
「アパートに着いたらね」
「うん」
「何が飲みたいの?」
「何でもいいよ」
強は雨の中で顔を綻ばして言ってきた。
「美輪ちゃんが入れたものなら」
「もう、お世辞が上手いんだから」
そうは言っても悪い気はしない。美輪も気持ちを乗せてきていた。
「じゃあホットミルクね」
「うん、お願い」
二人はそのまま腕を組み合って雨の街の中を急いでいく。そして美輪のアパートの中でデートの続きをするのであった。強は咄嗟の優しさで思わぬ奇貨を手に入れたのであった。
曇りの日に 完
2006・12・24
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