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曇りの日に
「何かなあ」
伊吹強は空を見上げて呟いていた。どうにも天気が悪いのが気になっているのだ。
彼は今家を出るところである。そのまま彼女の桜井美輪とデートである。
「傘、持って行った方がいいかな」
彼はふと思った。
「一応は。けれど」
それでも迷う。
「降らなかったらかさばるだけだしな」
まだ降るかどうかはわからない。だから余計に迷ってしますのだ。
しかし迷っている間にも時間は過ぎる。迷っている時間はなかった。
「よし」
彼は時間に迫られて決断を下した。
「ここはやっぱり」
彼は決めた。そして彼は取った行動は。
1.傘を持って行く。
2.傘を持って行かない。
3.途中でビニール傘を買うことにした。
1.傘を持って行く。
彼は結局傘を持って行くことにした。黒い大きな傘だ。優に二人は入れそうな程の大きさであった。
「これでいいよな」
彼は傘を持って街を歩きながら待ち合わせ場所に向かっていた。
歩いていると天気は余計に悪くなっていく。それを見ているとやっぱり傘をもって来てよかったと思う。
そうこう思っているうちに天気はさらに悪くなり遂には今にも降りそうな様子になってきていた。そんな中で美輪との待ち合わせ場所に向かった。するとそこにはもう彼女が待っていた。
「御免、待った?」
「いいえ」
美輪はにこりと笑ってそれに返してきた。
「今きたところよ」
「そう、よかった」
「ええ。けれど」
「何?」
彼女の言葉に応えた。
「傘持って来たのね」
「ああ、これね」
彼は自分の傘を見て美輪ににこりと笑ってみせた。
「ちょっとね。天気があれだったから」
「そうね」
美輪はそれを聞いて空を見上げた。もう真っ暗になっていてかなり淀んでいた。
「やっぱり降るわよね」
「そうだろうね」
彼はそれに答えた。
「私傘持ってないのよ」
「そうなの」
「大丈夫だと思ったから。けれど」
彼女は言う。
「危ないわよね」
「うん。けれど僕が傘を持ってるからさ」
「そうね」
強のその言葉を聞いて安心したのかほっとしたような笑みを見せてきた。
「じゃあ行きましょう」
「うん。じゃあ」
「ええ」
こうして二人は仲良く並んでデートをはじめた。空は暗いがそれでも気のいいはじまりであった。
けれど暫く歩くと。やっぱり心配した通りになってきた。
「やっぱり」
美輪はポツポツときた雨を見て口を波線の様に歪ませていた。
「危ないかなって思ったけれど」
「いや、本当だね」
強はそれに応えて言う。
「持って来てよかったよ」
「本当ね」
美輪は心からその言葉に頷いた。本当にそう思え
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