第三章
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阪の蕎麦屋を回ろう」
こう提案するのだった。
「蕎麦屋をかい?」
「浪人様は大阪の蕎麦って言っていたよな」
「そうだよ」
亭主の今の言葉に頷いて答える。
「確かにね。そう言っていたね」
「じゃあ。大阪の蕎麦がどんなのか食ってみないと駄目だろ」
「食って舌で探るんだね」
「そうだよ。どうだい?」
あらためて女房に窺う。
「それでな。やってみるか」
「そうだね。悪くないね」
考えつつ意を決した顔で亭主の言葉に頷いて答えた。
「それで。勉強してみようよ」
「よし。それにしてもな」
ここで彼はつゆを見た。蕎麦のつゆを。
「上等の醤油と最高の卸し大根なんだがな」
「そうだね」
江戸ではそれで蕎麦を食べていたのです。
「ダシだって最高なのに」
「それでどうして」
まだ二人にはわからなかった。しかしそれをわかる為だった。二人は少し店を休んで蕎麦屋の食べ歩きにかかった。その侍の殆どいない街を橋から橋へと渡りながら食べていくのだった。
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