第十二話:ただ一人君の為なら
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いぞ?」
なおも問い詰めるとクロは観念したように溜息を吐いた
「……どうして……どうして、わかったにゃ?」
「家族だからな」
「え?家族?」
「ああ、クロは俺の家族だ、だから目を見れば大体のことは分かる……クロもそうだろ?」
そう言ってクロに笑いかける、さっきの仕返しだ
「そっか……ありがとうにゃ……」
寂しそうに笑い返すクロ……これは何があっても出て行く気だな……それも俺の為に
……しょうがない、なら、言いたいことだけでも言おう
「俺はクロが出て行くのを止めたりはしない」
「え?」
「それがクロの選択ならそれを止める権利は俺にはないからな……まあ、本音を言うとずっと一緒にいて欲しいけどな」
「っ///////////!!?」
クロが顔を真っ赤にする、まあ、プロポーズまがいの事をいったからな
でもこれが俺の本心なんだからしょうがないよな
「さっき、何でも言うことを聞くっていったよな?」
「っ!?…えっと……うん」
「じゃあ、今から言うことだけは絶対に忘れないでくれ」
今から俺が言うことは俺の自分勝手だと思う
でも、だからこそ、これだけは言っておきたいんだ!!
「よく聞いてくれ……クロがどこの誰であろうと、どんなことをしていたとしても――」
クロの目を真っ直ぐ見つめる、ホントの約束は目を見てするものだからな
「――クロは俺の家族だ……だから――俺はどんなことがあっても君を連れ戻す!!何度でも俺から離れたって構わない、でもな、その度に何度だって俺が連れ戻してやる!!もし君が約束を破っても、俺がその約束を本当にしてやるからな!!!」
―約束だ―
俺がそれだけ言い終えるクロは泣きそうな顔をして俺を見つめ返す
「あなた馬鹿にゃ……」
「かもな」
「私のせいであなたが危険な目に合うかもしれないのよ?」
「覚悟の上だ」
「世界を敵にまわすとしても約束してくれるの?」
「ただ一人君の為なら」
そこまで言うとクロは完全に泣き崩れて俺の胸に顔を埋めてきた
……胸からゆっくりと涙の温かさが伝わってくる
「ヒッ……グスッ……ずるいにゃ……そんなこと言われたら……ますます……離れたくなくなるにゃ……っ!!」
俺は何も言わずクロの頭をただ撫でる……俺だって離れたくないさ
……でもクロは選択しないといけないんだ、そのために俺に出来ることは――
「♪〜♪♪♪〜♪」
「っ!!?」
クロが怖がらないように、正しい選択が出来るように歌ってあげることだ
―兄さんが俺にそうしてくれたように―
そのままクロが眠るまで歌い続ける
しばらくすると穏やかな寝息
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